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オブジェクト指向とは。開発上のメリット・デメリットをわかりやすく解説
オブジェクト指向
プログラミング
言語
2023年6月9日 更新
オブジェクト指向とは。開発上のメリット・デメリットをわかりやすく解説
オブジェクト指向とは、システム全体があらゆる「モノ」で構成されているという考え方。PythonやJavaといった主流のプログラミング言語で使用される技法です。今回はオブジェクト指向の意味や誕生した背景、メリットとデメリットをわかりやすく解説。また学ぶ上で知っておきたいワード、オブジェクト指向の3原則についても紹介します。
オブジェクト指向とは
実際にエンジニアとして働いていても、深く理解し切れていない人も多い「オブジェクト指向」。今回は、そんなオブジェクト指向の意味や特徴、誕生した背景、他の指向言語との違いについて、わかりやすく解説します。
オブジェクト指向の意味
オブジェクト指向とは、システム全体を複数の「モノ」の集合体であると捉えた、システム構成の考え方を指します。
プログラミングをする際、ある1つの考え方に基づいて構成していくのが基本です。そしてオブジェクト指向は、現在主流の考え方となっています。
オブジェクト指向が誕生した背景
オブジェクト指向という考え方が誕生したのは1950年代。マサチューセッツ工科大学(MIT)のアラン・ケイ氏が提唱しました。彼は1970年代、プログラミング言語「SmartTalk」を開発した人物であり、IT業界で名高い存在です。そんな彼は、コンピューター技術の著しい発展によりプログラミング構成が複雑になっていく当時、解決策としてオブジェクト指向を打ち出しました。
他の表現方法との特徴の違い
オブジェクト指向と他の表現方法を比較してみます。
オブジェクト指向プログラミング:役割を持ったモノ達を組み立てるように構成する
手続き型プログラミング:最初に行う手順から順にまとめた、文章のように構成する
関数型プログラミング:関数を用いて構成する
手続き型は習得が比較的容易で、関数型は研究などの数学的な表現に強いのが特徴です。オブジェクト指向は習得の難易度が高いものの、汎用性が高く幅広い分野で活用されています。
オブジェクト指向を学ぶ上で知っておきたいワード
オブジェクト指向を学んでいくと、多くの専門用語に出会うでしょう。ここでは、オブジェクト指向を理解する上で欠かせない4つのワードを解説します。
オブジェクト
オブジェクトとは、現実世界でいう「モノ」「対象」などと呼ばれる存在で、データ(情報)と処理(計算)の集合を意味します。もしもシステムを車に置き換えると、エンジンや車輪、ドアといった部品がオブジェクトにあたります。これは、オブジェクト指向を構成する大きな単位です。
クラス
クラスとは、オブジェクトの設計書のようなもの。オブジェクトという言葉は概念に過ぎませんが、対してクラスは、実際にデータと処理をまとめる機能そのものです。クラスを元に生成された実体は「インスタンス」と呼びます。
プロパティ
オブジェクトが持っているデータをプロパティと言います。車の例を引き継ぐなら、該当するのはメーカー・色・ドア数などです。実際には、文字列や数列といった状態でプログラム上に格納されます。
メソッド
メソッドとは、オブジェクトが持つ処理のこと。車で言う、エンジンをかける・走る・鍵を閉めるなどの動作です。つまり、プロパティとともに構成されたものがクラスとなります。
オブジェクト指向の3原則
オブジェクト指向のプログラミングを行う上で重要なのが「オブジェクト指向の3原則」です。以下の要素を活かせれば、オブジェクト指向の特徴が発揮されます。それでは、各要素について詳しく見ていきましょう。
継承・抽象化
継承とは、あるクラスを引き継いで新たなクラスを生成すること。
ベースとなっているクラスを「スーパークラス」、それを基に作られたものは「サブクラス」と言います。継承の魅力は、既に出来上がっているスーパークラスのデータ・処理に、新たな要素を追加するだけでサブクラスが出来上がる点です。これは、一からスーパークラスを生成し直す必要がないとも言えます。
サブクラスに反映させたくない部分は、スーパークラスの一部を抽象化すると解決可能です。スーパークラスとサブクラスの差別化を図れます。
カプセル化
オブジェクトの安全性を確保する上で欠かせないのがカプセル化です。アクセス範囲の制限を行い、外部による操作を一部防止することを指します。また外部からのアクセス用に、コード入力をしなくても操作できるようなメソッドを用意するのも可能に。これによって大人数での開発が楽になったり、プログラムの故障を防いだりできます。
ポリモーフィズム(多態性)
ポリモーフィズム(多態性)とは、クラスが異なっても同一のメソッドで処理ができる仕組みを指します。慣れた処理方法でプログラムが動いてくれるため、クラスごとにメソッドを覚える必要がありません。
オブジェクト指向を用いた言語
オブジェクト指向が取り入れられている代表的な言語は以下の通りです。
C++:C言語を拡張した言語。ゲーム・組み込みなど
Python:初心者でも扱いやすい言語。AI(人工知能)・アプリ・ゲームなど活用シーンが幅広い
Java:日本で特に人気の言語。Web・バッチシステムなど
PHP:Web界隈での活用が主な言語。
Ruby:日本人が開発した、コード量の少ない言語。Webアプリなど
Scratch:コードはなく、ブロック状になっている命令を積み木のようにつなげて構成するもの。子どもがゲーム開発に挑戦するときなどに活用
オブジェクト指向のメリット
オブジェクト指向が注目されているのは、作業効率や管理性の高さがあるからこそ。ここではオブジェクト指向のメリットについて紹介します。
プログラム全体の管理が容易
表現方法が確立されているオブジェクト指向なら、プログラムの管理が容易です。コードを見るだけで、どのような役割を持った部分なのかがすぐに理解できます。
開発効率が高く、仕様変更も楽
カプセル化によって複数人での開発が安全にすばやく行えるため、開発効率が高くなります。またスーパークラスが完成すれば、それを基にサブクラスを生成できるという点もメリットです。
さらにプロパティの変更をしたいときは、スーパークラスを修正するだけ。他の方法で作成したプログラムのように、各コードを変更する必要がないので、迅速な仕様変更が可能です。
不具合に対処しやすい
モノと操作が独立して存在しているため、不具合が起こっても原因を特定しやすいのも、オブジェクト指向ならではです。またスーパークラスの不具合を見つければ、継承したサブクラスの不具合も早急に発見・改善できます。
オブジェクト指向のデメリット
オブジェクト指向は汎用性が高く魅力的ですが、それは設計段階で上手くいけばの話でもあります。メリットを得るためには、経験を積み、慣れていくことが大切です。オブジェクト指向プログラミングに慣れていない間のデメリットについても見ていきましょう。
設計段階の時間コストが高い
オブジェクト指向は高度なシステムを作れる分、設計には時間がかかります。ベースのスーパークラスがしっかりとしているからこそ、サブクラスが活きるというものです。ただし設計さえ時間をかけて仕上げれば、後は効率良く開発していけます。設計段階で質に重点を置けば、後のコスト削減につながるでしょう。
完全に理解するのが難しい
オブジェクト指向は現実世界とリンクした考え方であるが故に、最初は理解に苦しむ人も少なくはありません。実際、理解しきれずにシステム開発に加わっている人材もいます。
しかし理解しきれば、より高度な開発が可能に。深く理解して取り組める人材は転職にも有利です。
オブジェクト指向を理解し、質の高いシステム開発を
オブジェクト指向は奥深く、簡単には理解しきれないかもしれませんが、完全に自分のものとしたときのメリットは大きいもの。高度なシステム開発ができれば、大きなやりがいも得られるでしょう。ぜひオブジェクト指向への理解を深め、質の高い開発を目指してはいかがでしょうか。
※記載の情報は、2023年6月時点の内容です。
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