2024年9月12日 更新

キャリア採用とは?メリット・デメリットとアピールすべきポイント、成功事例を解説

キャリア採用とは、企業が求める一定のスキルや経験を持つ人材を雇用する選考方法のこと。組織でいち早く活躍できる人材を採用でき、教育にかかるコストを抑えられるなど、企業にとってメリットの多い手法です。この記事では、キャリア採用の特徴とメリット・デメリット、選考時のアピールポイントや成功事例について紹介します。

IT企業などが積極的に導入するキャリア採用とは?

即戦力の人材が採用できるとしてIT企業などを中心に注目されているのがキャリア採用です。まずはキャリア採用の特徴や中途採用との違い、実際に導入されている職種についてチェックしていきましょう。

キャリア採用とは

キャリア採用とは、自社の業務に関するスキル・知識を有する即戦力となる人材を雇い入れるための採用枠のことを言います。主に以下のような条件が求められます。


  • 就業経験があること

  • 募集する業務の実務経験があること

  • 募集する業務に関する専門知識を持っていること


例えば、募集要項に「実務経験⚪︎年以上」「有資格者に限る」といった記載のあるものがキャリア採用にあたります。カジュアルに転職できるようになった現代において、優秀な人材を囲い込むために有効として注目されている手法です。

中途採用との違い

類似する採用枠として中途採用がありますが、主な違いは対象者の範囲です。中途採用の場合、「就業経験があること」が要件となり、前職の職種や経験年数は問われません。例えば、「業界・職種未経験者可」「第二新卒歓迎」といった募集が中途採用にあたります。キャリア採用では応募者が限定されますが、中途採用では広く人材を集められるといった違いがあります。

キャリア採用を積極的に行う職種

主に以下のような職種において、キャリア採用が積極的に行われています。

①SE(システムエンジニア)、プログラマー

IT関連の職種への転職では、実務経験が重要視されます。高度な知識が必要となる職種であるため、キャリア採用に積極的です。

②営業・営業企画

営業職ではこれまでの経験が成果に結びつきやすいため、経験年数が問われるケースが多いようです。

③人事・財務・法務

知識に加えてセンスやノウハウが必要となる管理部門において、経験者は重宝されます。

キャリア採用のメリット・デメリットとは

即戦力となる人材を確保できる、教育コストを抑えられるなど、企業にとってメリットが多いキャリア採用ですが、デメリットもあります。企業側のメリット・デメリットを理解し、対策を立てておきましょう。

メリット①即戦力を採用できる

企業はスキル・知識のある人材を採用することで、即戦力としての活躍を期待しています。社風や人間関係に順応する時間は必要となりますが、新卒や未経験者を育てることに比べると圧倒的に速いスピードで事業の成長に貢献してもらえる点は、企業にとっての大きなメリットです。

メリット②教育にかかるコストを抑えられる

キャリア採用の対象となる人材は、すでに社会人としての一般的なマナーや、業務に関する一定の知識を有しています。ゼロから教育する必要がある新卒や未経験者よりも、研修にかかる時間、費用などのコストが低く抑えられることも魅力でしょう。

メリット③新たなノウハウを取り込める

同じ業種であっても企業によって文化やノウハウは違うもの。豊富な経験を有する人材を採用することで、現状の問題点の改善や、足りない部分の補強ができます。さらに新たな風が入って組織が活性化し、既存従業員にも良い影響を与えられるでしょう。

デメリット①採用コストが高くなる

キャリアに応じた待遇を用意する必要があるため、未経験者の採用と比べるとキャリア採用では単価や給料水準は高くなる傾向にあります。対象者は待遇や給料アップを目的とした転職を考えていることも多く、満足のいく条件を提示できないとなかなか応募が集まらない点は企業からするとデメリットです。企業は未経験者を採用した場合に必要な教育コストや成長スピードを踏まえ、有益となる採用計画を立てる必要があります。

デメリット②自社の風土と合わない可能性がある

他社で成果を上げてきた人は、他社で培ってきたやり方やカルチャーを持っているもの。スキル等の条件は申し分なくても、自社の風土とは合わない可能性があるのも企業としてはデメリットと言えるでしょう。

キャリア採用を取り入れる企業は、フォローなしに新たな人材を組織に組み込むと既存従業員からの反発を買うおそれがあるので、まずは既存従業員にキャリア採用について適切な説明を行う必要があります。また、選考の際には能力の有無だけではなく自社になじむ価値観を持っているかも判断材料として見られます。

キャリア採用で転職者がアピールするべきポイント

キャリア採用枠で転職活動を行う場合、これまで培ったスキルや経験を存分にアピールし、早く企業に貢献できる人材であることを知ってもらうのが成功のポイントです。書類選考、面接でのアピールポイントを紹介します。

書類選考のアピールポイント

キャリア採用においては、スキルの確認のため書類選考が重要視されます。応募する職種に活かせるスキルや経験は、しっかりと記載しておきましょう。

また、スキルだけではなく人物像が分かると企業も選考しやすくなります。業務に有利になりそうな自分の強みや特性について記載しておくと、他の応募者との差をつけられます。

面接でのアピールポイント

面接では企業によってさまざまな質問を用意していますが、キャリア採用の場合、とくにチェックされるのが以下の項目です。

①転職理由

自社で能力を発揮してくれるか、長く働いてもらえるかとった観点からよく聞かれる質問です。これまでの経験を活かせる職種に挑戦したい、さらなるスキルアップを目指したいなど、ポジティブな理由を伝えると安心してもらえるでしょう。

②職務経歴・スキル

書類でも提出していますが、言葉でも即戦力となれることをしっかりとアピールしましょう。

③社風や既存従業員との相性

スキルの他にも、自社で活躍してくれる人柄かという点も企業にとっては非常に重要です。協調性や交渉力、コミュニケーション能力といったポータブルスキルが高い人は、技術面が十分ではなかったとしても将来性を見込まれ採用してもらえるチャンスがあります。

キャリア採用を実施している企業の成功事例

最後に、実際にキャリア採用を導入し成功している企業の事例を紹介します。具体的な求人内容から企業の姿勢までを紹介するので、キャリア採用のイメージを掴むために役立ててください。

自動車会社での事例

自動運転やEVなどの技術が発展し、大きな変革期を迎えている自動車業界。キャリア採用は時代の変化を乗り越えるために有効として、力を入れる企業が増えています。

大手自動車会社ではキャリア採用専用のサイトを立ち上げ、求人情報を分かりやすく公開。一般スタッフだけではなくチームリーダーやマネージャーといった業務に精通した人材、即戦力となれるプロの人材を広く募集し、同業種だけではなく異業種から転職した人も多く活躍しています。

ゲーム会社での事例

大手ゲーム会社でもエンジニアやデザイナー、クリエイターなど、専門スキルが必要とされる職種においてキャリア採用を積極的に取り入れています。公式サイトに掲載された求人情報には、業務内容の他に必須条件や歓迎するスキル・経験、求める人物像まで記載しているところが特徴的です。さらにキャリア採用についての説明会も行い、自社と求職者のマッチングのずれを防止。年々キャリア採用枠を広げることに成功しています。

食品メーカーでの事例

大手食品メーカーも専用サイトを公開し、積極的にキャリア採用を行なっています。求職者が自分の経歴を登録できる「キャリア登録」制度を設け、適した職種やポジションがある場合に企業側から連絡し選考を行うという流れで、効率的に採用活動を進めています。

キャリア採用と企業に最適な人材を見つけるための選考方法

企業にとっては即戦力となる人材を採用できる、社内に新しい風を取り込めるなどメリットが大きいキャリア採用ですが、雇用される従業員にとっても自身の経験やスキルを活かした転職ができる方法です。有利な転職につながるようキャリア採用についての理解を深めましょう。

※記載の情報は、2024年8月時点の内容です。