2024年10月30日 更新

データインテグレーションとは?必要とされる背景や実施手順、重要ツールを解説

現代のビジネス環境では、自社が持つ膨大なデータをいかに活用するかが、企業運営の成功のカギといえます。その中でも特に注目されているのが、複数のデータソースを統合し、効率的に活用するためのプロセス「データインテグレーション」です。本記事では、データインテグレーションとは何か、必要とされる背景、主要な手順、活用されるツールを解説します。

データインテグレーションとは?

データインテグレーションとは、複数のデータソースを統合し、企業の意思決定を支援するプロセスを指します。近年は、SNSやモバイルアプリ、IoTデバイスなどからのデータが急増。企業にとってこれらのデータの統合や活用が大きな課題となっています。

データインテグレーションを実施することで、データの流れが可視化され、データ資産を最大限に活用することが可能です。管理コストの削減や業務プロセスの改善も期待できます。

データインテグレーションとデータマイグレーションの違い

データインテグレーションとデータマイグレーションは、異なる役割を持ちます。データインテグレーションは、複数のデータソースを統合し、情報を効果的に活用するプロセスです。一方、データマイグレーションは、システム間でデータを移行するプロセスを指します。

例えば、新システム導入時に旧システムからのデータを移行するのがデータマイグレーション、既存の複数のデータを統合して業務改善を図るのがデータインテグレーションです。両者は異なる目的とアプローチを持ち、企業においてそれぞれ重要な役割を果たします。

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データインテグレーションが必要とされる背景

データインテグレーションは、データの一貫性や信頼性を確保し、迅速な意思決定を支援するために不可欠なプロセスです。データインテグレーションが必要とされる背景を具体的に見ていきましょう。

データの散在

データが社内に散在していると、情報の一元化が難しくなります。システムごとに異なるフォーマットでデータが保管されていると、データの断片化が生じるためです。部門ごとに管理されるデータが統合されなければ、社内での活用が困難になります。データインテグレーションにより、これらの分散したデータを一元化し、効率的に活用できるようになります。

データ量の増加

企業が保存するデータ量は年々増加し、その管理はますます複雑化しています。多様なソースから膨大なデータを収集している一方で、活用が追いついていない企業が多く見られます。その結果、保存されたデータの多くが分析されないまま放置され、無駄になっているケースが少なくありません。

しかしデータインテグレーションを導入することで、これらのデータを効果的に活用できるようになり、経営の意思決定にも役立ちます。

業務の効率化

業務効率化の観点からも、データインテグレーションは重要な役割を果たします。データを統合し可視化することで、迅速な意思決定が可能となり、生産性の向上が期待できます。例えば、在庫管理ではリアルタイムなデータ共有を通じて、最適な在庫配置を実現可能です。販売・営業分野においては、顧客情報を一元化することで、サービスや顧客満足度の向上にもつながります。

データインテグレーションの主な手順

データインテグレーションを行うには、データの発見と抽出から、データアセスメント、クレンジング、統合までの各ステップを踏むことが重要です。これらの活用により、データを正確かつ効率的に統合できるようになります。

Step1:データの発見と抽出

データの発見と抽出は、データインテグレーションにおける最初の重要なステップです。データの所在や保存形式、移動経路を把握し、全体像を明確にすることで、効果的なデータ管理が可能になります。例えば、企業内のさまざまなシステムから情報を抽出し、データマップを作成することで、全体的なデータ管理を容易に行えるでしょう。正確なデータの発見と抽出は、次のステップへと進むための基盤となります。

Step2:データアセスメント

次に、抽出したデータの品質を評価し、各データソースの内容や構造を詳細に調査します。複数のテーブル間の相関関係や、データの欠損、表記の不一致などの問題点を分析し、それに基づいてデータ分析レポートを作成。このレポートは、データの品質管理や改善に向けた具体的な行動計画に役立てられます。

Step3:データクレンジング

データアセスメントにより得られたレポートをもとにルールを定義し、データクレンジングを行います。具体的には、マスタデータの統合やデータの整合性の修正、表記ゆれの修正、重複データの削除、不要データの削除など。データクレンジングで得られた高品質なデータを使用することで、精度の高いデータ分析が可能になります。

Step4:データ統合

データクレンジングが完了した後、ETLツールを使用してデータ統合を行います。ETLとは「Extract(抽出)」「Transform(変換)」「Load(格納)」の略で、分散したデータを一元的にまとめる一連の処理のこと。ETLツールにより、必要なデータを抽出・変換し、データウェアハウスなどの統合プラットフォームに格納できます。これにより、統合されたデータを社内で一貫して活用できるようになり、意思決定や業務効率化が実現します。

データインテグレーションに活用される重要なツール

データインテグレーションを効果的に進めるには、適切なツールの選定が不可欠です。データインテグレーションがスムーズに進む3つの重要なツールについて、それぞれの特長と活用方法を解説します。

①データレイク

データレイクは、さまざまなデータソースから取得した生データを、そのままの形式で格納できるシステムです。XMLやCSVなどの構造化データはもちろん、文書、画像、動画といった非構造化データも幅広く保存できます。データレイクを活用することで、機械学習やビッグデータ処理、リアルタイム分析など、さまざまな分析が可能となり、的確な意思決定が可能になります。

②データウェアハウス

データウェアハウス(DWH)は、主にデータ分析やレポート作成を目的として整形されたデータを格納するシステムです。データは形式化され、時系列に整理されているため、分析や報告が容易になります。

データウェアハウスは、社内のさまざまなシステムからデータを集約し、長期保存して情報分析に活用することができます。通常、データの削除や更新は行われません。過去データの蓄積と現在との比較が可能になり、企業の意思決定や分析にも役立ちます。

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③ETLツール

先述したETLツールも、データインテグレーションによく活用されるツールです。必要なデータの変換や加工処理を自動で行うことが可能です。データソースから抽出した後、必要な形式に変換してデータウェアハウスなどに格納します。これにより、データ統合のプロセスが効率化され、データの品質が向上し分析も容易になります。

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データインテグレーションの課題

データインテグレーションは、複数のデータソースを統一された形式に変換する必要があり、これが技術的な課題となっています。異なる性質や仕様を持つデータを同一基準で扱うためには、クレンジングやフォーマット作成、整形作業などが必要です。しかし、これらは統合プロセスのネックになる可能性があります。また、データの変換過程で情報が失われたり、品質が不均一になったりするリスクも存在します。

データインテグレーションでデータ資産の有効活用を

データインテグレーションは、複数のデータソースを統合し、企業の意思決定を迅速かつ正確に行い、業務の効率化を図るために欠かせないプロセスです。成功させるには、適切なツールの選定とデータの品質管理が不可欠です。効果的なデータインテグレーションを実現し、企業の競争力を向上させましょう。

※記載の情報は、2024年10月時点の内容です。