RPA
2023年11月29日 更新

RPAとは?注目される背景やメリットを解説。導入事例から活用方法を学ぼう

RPAとは、人間がパソコンで行っている作業を自動化させる仕組みのことです。日々のルーティンやタスクなどを自動で行え業務効率の向上に役立つため、PRAを導入する企業が増えています。RPAとは何か、注目されている背景とメリット、RPAに向いている仕事、実際にRPAを導入した企業の事例を紹介します。

RPAとは

RPAは簡単にいうとパソコン上で行う作業を自動化する仕組みを指します。まずは、RPAとはどんな技術なのか、どのような仕組みなのかを解説します。

人の手で行っていた単純作業を自動化する技術

RPAとは、これまで人間が手作業で行ってきたブラウザやメーラーなどのアプリケーション、繰り返しのタスクなどをソフトウェアロボットを用いて自動実行する技術です。

RPAは「Robotic Process Automation(ロボティックプロセスオートメーション)」の略で、日本語で「ロボットによる業務自動化」という意味があります。人間の代わりにタスクを自動化するため「デジタルレイバー(仮想知的労働者)」と呼ばれることも。RPAを実現するソフトウェアはRPAツールと言われますが、プログラミング知識がなくても使えるものもあります。

記録した操作手順をもとに実行する仕組み

RPAツールを使用して、まずはシナリオを手順通りに記録します。方法はPCの実際の操作を記録しても、画面上でのドラッグアンドドロップで作業フローを登録しても構いません。記録されたシナリオに基づいてRPAがPCを自動操作し、作業が実行される仕組みです。

RPA対応のアプリケーションであればその機能を認識し、より効率的な操作も可能です。スケジューリングして指定の日時に自動実行することもできます。

RPAが注目されている背景

RPAは、日本においては2016年頃から急速に注目され始めました。その背景には、深刻な人材不足と政府主導のDX推進が挙げられます。RPAが注目され始めた理由について詳しく解説します。

深刻な人材不足

昨今は少子高齢化の影響で、2060年には国民の約2.5人に1人が65歳以上、2065年の労働力人口は2016年の6割ほどまで減少するといわれています。企業活動を継続する上で、人材確保は大きな問題です。

ルーティン作業をRPAに任せれば、人間は人にしかできない仕事や、より多くの付加価値を生みだす仕事など本質的な企業活動に集中できます。PRAの導入は、人手不足の一部を補うことができるでしょう。

政府主導のDX推進

2018年に経済産業省は、「RPAを用いた定型業務の自動化などによる業務プロセスのデジタル化」に企業は直ちに取り組むべきだと発表しました。企業におけるDX推進施策として、RPAが採用されるケースも増えています。

さらに、働き方改革の取り組みも活発化しています。従業員がいかに短時間で、効率良く働ける環境を作るかが企業の課題に。RPAの導入をすることで単純作業は速く確実になり、作業する人の余力を生みだしてくれます。

RPA導入の効果・メリット

RPAを導入すると、人件費の削減や作業スピードと正確性の向上、さらに従業員のモチベーションアップも期待できます。結果として、組織の生産性アップにつながります。続いて、RPA導入の効果・メリットを見ていきましょう。

人件費の削減

これまで人間が行っていた作業をRPAに任せれば、その作業にかかっていた分の人件費を削減可能です。RPAが効率的に作業を行うため、ルーティンや単純な作業の手間も減らせます。そのため、業務のピーク時でも従業員を増やす必要がなくなります。

作業スピードと正確性の向上

RPAの導入は業務を自動化してくれるため、作業のスピードアップにつながります。ルーティンをスケジューリングしていれば、設定した時間通りに作業してくれるのもメリット。

作業の正確性もRPAの強みです。人間の手作業ではミスが起こり得るものも、RPAなら正確な作業が可能です。ミスをした分の人件費や時間を無駄にせず、コストの削減にもつながります。

従業員のモチベーションアップ

RPAが単純作業を行えば、人間はよりクリエイティブな業務やスキルを活かせる業務、難易度の高い業務ができるようになります。単純作業の繰り返しはやりがいを感じにくく、従業員の心理的な負担が大きいもの。単純作業が減ると、仕事に対するモチベーションが向上するでしょう。

モチベーションの向上は、やりがいにつながります。結果、従業員の離職率が下がり、人材確保の費用削減にもなります。

RPAに向いている作業

RPAは固定化されたタスクやルーティン作業が得意です。例えば、通販事業に欠かせない注文処理や発注書の作成、データ収集と入力、メールやチャットで固定の質問のカスタマーサポートなどが該当します。ここではRPAに向いている作業の例を紹介します。

注文処理や発注書の作成

通販事業における注文を受けてからの在庫確認や、発注と納品の管理はRPAが得意とする分野です。RPAを導入すれば、在庫管理、注文処理、発注書の作成、配送手続きの自動化が可能に。在庫チェックや注文処理のミスを減らし、スピーディーに作業ができるようになります。

データ収集と入力作業

RPAは大量のデータを入力し、データ処理を行う業務も得意。 フォームベースのデータ入力やデータ収集の効率化ができます。手作業のデータ入力はミスが起こりやすいですが、それを防ぐこともできます。

メール・チャットの対応

よくある質問に対するメールやチャットでの対応など、定型的なカスタマーサポート業務はRPAで自動化が可能です。顧客からの問い合わせに対して、事前に回答を設定しておけば、自動返信ができるようになります。テンプレートで返信できない内容のみを人間が対応することで、人件費が削減できます。

RPAとAIと違い

RPAとAIは混同されがちです。どちらも自動で作業を行う点は同じですが、自律的な判断ができるかどうかという点が異なります。

AIは処理のなかで学習を繰り返し、自ら考えて判断するようになります。RPAには判断能力がなく設定されたルールに従って作業を実行するので、決められたフォーマットに沿って処理をします。ただし、最近はAIを搭載した高度なRPAも登場しています。

RPAの導入事例

RPAは多種多様な業種で導入されています。ここでは交通費精算の自動化、通販在庫管理、名刺作成など具体的な事例の詳細を見ていきましょう。

従業員の交通費精算の自動化へ成功した例

RPAの導入で、交通費精算書の金額チェックを自動化した事例です。従業員の交通費を、Web画面と照らし合わせ、金額判定後、申請者にメールで報告する作業をRPAの導入で自動化しました。

修正が必要なら再チェックを行い、問題なければ自動承認されるというシステム。このシステムを導入したところ、80人分の業務削減とヒューマンエラー回避につながりました。

通販事業の在庫管理に導入した例

通販事業にて在庫数を人間が管理していたものを、RPAの導入で自動化した例もあります。自社ECサイトと社外ECモールを1時間おきに在庫更新するように仕組化しました。

導入前は手動で毎日1回在庫チェックをしていましたが、自動化することでミスは減少。加えて、売上データの作成も自動化に成功した結果、月500万円の売上アップにつながりました。

名刺作成の自動化に成功した例

印刷業ではRPA導入により、名刺作成の一連の手作業を自動化させた事例があります。従来は顧客からの名刺作成者リストをもとに、面付作業と印刷を手入力で実施していました。

担当者が顧客の名刺作成者リストを指定フォルダーへ保存すると、名刺データの面付から印刷までをIllustratorで自動処理できるように仕組化。工程の一部を自動化して、作業速度がアップしました。

RPAとは企業の生産性向上に貢献する技術

RPAとは、タスクやルーティン業務を自動化する技術です。RPAの導入により人材不足の解消や業務効率化が叶うと、組織の生産性向上にもつながります。従業員をルーティンワークから解放して、より自社で活躍してもらうためにRPAの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

※記載の情報は、2023年12月時点の内容です。