2024年5月23日 更新

ブリッジエンジニア(ブリッジSE)の仕事内容とは?必要なスキル、将来性も解説

オフショア開発において国内外の橋渡し役となるブリッジエンジニア。海外で通用する言語力やコミュニケーション能力など高いスキルが求められますが、その分市場価値の高い存在です。この記事では、ブリッジエンジニアの役割や具体的な仕事内容、求められるスキル、年収や将来性について解説します。

ブリッジエンジニア(ブリッジSE)とは?

グローバルネットワークを操るビジネスマン

近年増えているオフショア開発において、海外との調整をメインに行うのがブリッジエンジニアです。まずはブリッジエンジニアの役割について解説します。

オフショア開発に欠かせないエンジニア

ブリッジエンジニアとは、海外でのプロジェクトを円滑に進めるための橋渡し役を担うエンジニアのこと。とくにコスト削減を狙って海外でシステム開発を行う「オフショア開発」で重宝される存在です。勤務場所は、ブリッジエンジニアとして海外拠点で働く場合と、日本にいながら海外の担当者とやりとりするパターンがあります。

ブリッジエンジニアの主な役割

海外と日本とのさまざまな違いをすり合わせ、プロジェクトを成功に導くのがブリッジエンジニアに期待される役割です。海外とは文化や言語が違うだけではなく、技術にも違いがあります。現地のエンジニア達と密にコミュニケーションをとりながら、進捗管理や調整、コンサルタントまで行うケースもよく見られます。

システムエンジニアとの違い

システム開発に携わるブリッジエンジニアも、システムエンジニアの1種といえます。ただし一般的にシステムエンジニアというと、要件定義や設計など実装面を担うイメージが強いでしょう。一方、ブリッジエンジニアはシステムの実装よりも、国内外のエンジニア達の取りまとめ役となるのが大きな違いです。

ブリッジエンジニアの具体的な仕事内容

デスクにパソコンやタブレットを広げて仕事をする人達

プロジェクトを進行していく上で、現地のメンバーとこまめにやりとりを行っていくのがブリッジエンジニアの主な仕事内容です。各工程での具体的な仕事内容をみていきましょう。

1.現地のエンジニアへの説明

本格稼働に向けて、オフショア先の海外企業や現地のエンジニア対しプロジェクトの説明を行います。納品物の内容や納期、開発方法など、プロジェクト全体について把握してもらうことが大切です。プロジェクトが始まってからも、途中で仕様変更があればその都度現地へ共有を行います。

2.現地用の設計書の作成

日本語で作られた設計書を、オフショア先に合わせて翻訳するのもブリッジエンジニアの仕事です。システム開発における専門用語が多く使われているので、相手に正しく伝わるようわかりやすく適切に翻訳しなければなりません。さらに国によって進行の仕方やルールが異なるので、単に翻訳するだけではなく、場合によっては補足資料を用意するといった工夫も求められます。

3.定期的な進捗管理

ガンチャートを眺めるビジネスマン

プロジェクトが開始したら、進行に遅れが生じないようオフショア先とこまめにやりとりを行い、進捗具合を把握します。日本で勤務している場合、現地との連絡は基本的にはメールや電話、メッセージツールなどを利用しますが、時には現地に出向いて直接指示が必要なケースも出てくるでしょう。また、必要に応じて日本チームとのミーティングをセッティングし、進行役を担うこともあります。

4.納品された成果物の管理

現地での実装が終わったら、現地からの納品物を受け入れ最終チェックを行います。機能やバグなどの品質チェックはテストエンジニアが対応する場合もありますが、不備があればブリッジエンジニアが現地にフィードバックを行い修正の指示を出します。

ブリッジエンジニアに必要とされるスキル

オフィスでオンラインミーティングをするビジネスマン

ブリッジエンジニアに求められるスキルは、一般的なシステムエンジニアに求められるスキルとは少し異なります。ブリッジエンジニアに必要とされるスキルを紹介します。

語学力(英語等)

海外の現地スタッフとやりとりをするにあたり、語学力は必要不可欠です。現在オフショア先は中国、インド、フィリピン、ベトナムなどのアジア圏が中心で、英語でのやりとりが基本となっています。中国語が通じる国も多いため、中国語が話せる場合も重宝されるでしょう。日常会話レベルであることはもちろん、システム開発に特化した専門用語を現地のスタッフが正しく解釈できるように言い回す知識も求められます。

コミュニケーション能力

オフィスで笑顔で握手をする男女

プロジェクトを円滑に進めるためには、現地のスタッフと良好な人間関係を築くことが大事です。ブリッジエンジニアは海外と連携するにあたり、日本ではプロジェクトマネージャが担っているような役割も果たします。信頼関係の深さがスケジュールの進行や納品物のクオリティに直結することも少なくありません。海外との文化の違いやビジネスマナーの違いなども理解し、折り合いをつける交渉力が試されます。

マネジメント能力

日本と海外のエンジニアの橋渡しを行うにあたり、プロジェクト全体の管理能力も問われます。現地のスタッフに適切な指示を出すには、常にプロジェクトの状況を把握しておく必要があるためです。トラブル発生時の対応や、スタッフのモチベーション管理まで行えると、他の人材との差をつけられるでしょう。

システム開発能力

デスクでプログラミングをする男性

実装面がメインではないとはいえ、任されたプロジェクトのシステムに関する知識は必要です。システム開発はインフラ系やアプリ開発など多岐に渡るので、どのような知識が必要かは案件によって異なります。一般的に、ブリッジエンジニアはシステムエンジニアとして経験を積んだ後に目指す職種なので、これまでの経験に加え専門分野外のスキルも身につけておくと転職に有利です。

ブリッジエンジニアになるために役立つ資格

パソコンで勉強をする人

一般的なシステムエンジニアからブリッジエンジニアへの転職を目指す際に役立つ資格を紹介します。難易度高めの資格が多いですが、その分スキルをアピールできます。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は、情報処理推進機構(IPA)が運営する国家試験の1つです。実務経験が3~5年程度のエンジニアを対象としていて、試験ではITエンジニアとしての専門的な知識や応用スキルが問われます。比較的難易度が高めの試験なので、確かな技術力をアピールするのに役立つでしょう。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験もIPAが運営する国家試験の1つ。現時点では国家試験として唯一プロジェクトマネジメントスキルを証明できる試験なので、ブリッジエンジニアを目指すなら取得しておきたい資格です。プロジェクトを円滑に進める能力だけではなく、関連する法令やシステム開発のスキルも問われるため、合格を目指すには幅広い知識が必要です。

PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)

PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)は、PMI(Project Management Institute)本部が認定する国際資格です。世界的に広く知られている資格で、プロジェクトマネジメントに関して専門的な知識を有していることを証明できます。受験にあたり一定の実務経験や研修の受講が求められるので、勉強を始める前に要件をしっかりチェックしておいてください。

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ブリッジエンジニアへの転職を目指す際によくある質問

コインを積み上げる男性

最後に、年収、将来性、仕事へのやりがい、懸念点など、転職を検討する際に気になる疑問について解説します。キャリアパスに悩んでいる人は要チェックです。

ブリッジエンジニアの年収は?

ブリッジエンジニアの年収は450万〜850万円ほどといわれています。時代の先端を担う職種のため、十分なデータが揃っていないのが実情ですが、その分貴重な存在です。システム開発に必要なスキルに加え、言語力やコミュニケーション能力など幅広いスキルが求められるので、一般的なシステムエンジニアと比べると高めの水準となっています。

ブリッジエンジニアに将来性はある?

近年、グローバル化が進んでいることや、コスト削減、自然災害の脅威に対抗するため、海外に拠点をおく企業が増えています。その中でブリッジエンジニアの需要も年々高まっています。しかし比較的新しい職種であり、一定のスキルを習得するには時間がかかるため、ブリッジエンジニアとして活躍できる人材はまだまだ少ないようです。そのため今後もブリッジエンジニアの市場価値は高いと考えらます。

どんなところにやりがいを感じる?

ブリッジエンジニアの業務では、国内外のたくさんの人と接するため、グローバルな視点を持つことができるところにやりがいを感じる人が多いようです。言語力が高まることはもちろん、異なる文化への対応力も身につくため、今後グローバルな舞台で活躍できる人材として成長していけるでしょう。

どんなところが大変?

言語や文化の違う人とのコミュニケーションにはとまどうことも多いでしょう。多くの人が関わる分、進捗管理も複雑になってきます。また、海外との時差に悩まされる人もいるようです。

世界を舞台に活躍するブリッジエンジニアの需要が高まっている

世界地図とビジネスマンの人影

海外と日本の間でプロジェクトを円滑に進めるために重要な役割を担うのがブリッジエンジニアです。グローバル化の流れは年々拡大しているため、海外でも通用するスキルを有している人材は今後ますます重宝されるでしょう。キャリアアップを検討している人は、ぜひ目指してみてはいかがでしょうか。

※記載の情報は、2024年5月時点の内容です。