2023年7月21日 更新

ウェルビーイングとは。ビジネスシーンでの必要性と取り組み事例を解説

ウェルビーイングは心身ともに健康的で、社会的に満たされた状態を指します。最近は従業員がウェルビーイングであることを意識する企業が増えてきています。この記事ではウェルビーイングとは何か、注目されている理由と企業の取り組み例、個人でもできる取り組みを紹介します。

ウェルビーイングとは

ウェルビーイング(well-being)は「身体的・精神的・社会的に良好であることの概念」として使われている言葉です。ウェルビーイングの意味や語源を、詳しく見ていきましょう。

心身ともに健康を持続できている良い状態のこと

身体的、精神的、社会的に健康であり、その状態を持続できていることをウェルビーイングと言います。また、その状態を目標するときに使用される言葉です。

語源は16世紀のイタリア語「ベネッセレ」

「Well(良い)」と「Being(状態)」から「Well-being(ウェルビーイング)」という言葉になりました。もともとは16世紀のイタリア語で「健康的な・幸せな」という意味を持つ「benessere(ベネッセレ)」が、ウェルビーイングという言葉の語源と言われています。

SDGsの1つとして組み込まれている

ウェルビーイングはSDGsの目標の1つでもあります。SDGsとは2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際的な目標のこと。SDGsには17のゴールと169のターゲットがあり、そのうちの1つに「Good Health and Well-being(すべての人に健康と福祉を)」が挙げられています。

ウェルビーイングがビジネスシーンで必要とされる理由

心身ともに健康な状態で勤務できる環境は、従業員のモチベーションも上がり、人材確保にもつながります。ここではウェルビーイングがビジネスシーンで必要とされる理由を詳しく見ていきましょう。

価値観の多様化が進んでいるため

近年は、社会全体で多様性(ダイバーシティ)を認める動きが活発になっています。多様性を受け入れていくことは、会社は業績を上げたり、従業員にとっても良い環境で仕事ができたりと、両者にとって良い側面があります。さまざまな考え方の従業員がいれば、今までにないアイディアが出てきたり、それぞれの能力を活かしてより良い仕事ができたりする可能性が高いのです。また個人の価値観を認めることは、従業員にとっても働きやすい環境となるでしょう。

人材確保につながるため

今後は少子高齢化の影響により、人材も不足していくことが見込まれます。内閣府によると、令和35年には日本の人口が1億人を下回ると予想されています。企業は人材の確保や労働力アップのためにも、ウェルビーイングを掲げ働きやすい環境を作る必要があるでしょう。

ウェルビーイングの取り組み方

人と交流すること、体を動かして健康を意識すること、趣味やボランティア、副業など仕事以外の何かに没頭することはウェルビーイングにつながります。個人ではもちろん、家族やチームでもできるウェルビーイングな取り組みの例を紹介します。

積極的に人と交流する

人間は社会的な生き物なので、コミュニティに所属するのが大切です。実際にコロナ渦の影響で、他者とのコミュニケーションが減り、メンタルに影響が出た人が増えたといわれています。家族や友人、仕事場などで雑談をするなど、積極的にコミュニケーションをとるのがおすすめです。新しくコミュニティを広げたいときはSNSなどを活用し、同じ趣味の仲間や友達を見つけるのも良いでしょう。

軽い運動を習慣にする

軽い運動を日常に取り入れると、運動不足解消やストレス発散になります。現代人はPCやスマホ操作が多く、運動不足になりがち。習慣的に体を動かすことを意識しましょう。筋トレ、ジョギング、水泳などは自分一人でできるので、複数人で行う必要のある運動に比べ習慣化しやすいです。また運動は人とのコミュニケーションのきっかけにもなります。友人とゴルフに行ったり、子どもと一緒に屋外で遊んだりするなど、誰かと交流をはかりながら運動を取り入れることができます。

趣味に没頭する

好きなものに没頭することは、気分転換になります。仕事の悩みや問題を引きずらないように、休日は趣味に時間を使うのが良いでしょう。本を読む、料理、音楽鑑賞など手軽にできる趣味の他、日帰り旅行もおすすめです。

もし没頭できるような趣味が見つからない人は、ボランティア活動をしたり、副業を始めたりするはいかがでしょうか。社会貢献になるものや、コミュニティが広がる活動をすると、生活がより楽しく充実したものになるでしょう。

企業のウェルビーイング取り組み事例

従業員がウェルビーイングな環境で働けるように、試作している企業も増えています。ここでは企業がウェルビーイングに取り組んだ例を紹介します。

社内コミュニケーションを促進した例

部署外の人とコミュニケーションをとれる仕組みを取り入れた結果、業務のモチベーションアップにつながった例があります。この企業では社員同士が感謝の言葉や社内ポイントを送り合う取り組みを行いました。その結果、部署外の社員の良いところを見つけるために、社員同士の交流が増えたのです。

さらにこの企業では社内で無料の昼食を提供し始めたところ、社内のコミュニティが広がりました。昼食時に他部署の人と顔を合わせる機会になり、従業員間の交流が増えたそうです。

ウェルビーイングを意識したオフィス設計を取り入れた例

オフィスの設計からウェルビーイングを意識している企業もあります。例えば、雑音を遮断できる高集中スペース、複数人で作業ができるスペース、アイディア出しや知識共有専用のスペースといったように、業務に適した部屋を完備。業務用のスペースだけではなく、リフレッシュ用のスペースもあり、従業員に嬉しい作りのオフィスとなっています。

生活習慣病予防を意識した社員食堂を取り入れた例

食事や料理から心身の健康を推進する企業もあります。この企業では、低価格で健康的なおいしい昼食を提供。カロリーを控えめにしたメニューも用意されています。

運動の機会を与えるためのセミナーを取り入れた例

とある企業では運動やスポーツに関するセミナーを開催。自宅でもできる運動の提案の他、仕事後に運動をできる設備があります。シャワールームも完備されており、従業員はジム感覚で利用が可能です。運動を習慣化しやすい環境が整えられています。

メンタルヘルス測定とサポート体制を作った例

従業員のメンタルヘルスを重視し、サポートに取り組む企業もあります。ここでは、社員のストレスチェックや働きがいをチェック。その結果から問題点を見つけて、解決に取り組んでいます。

ウェルビーイングの導入で働きやすい組織作りを

ウェルビーイングは、心身ともに健康的で社会的に満たされた状態を維持すること。今後は価値観の多様化や人材不足が見込まれるため、さらにウェルビーイングが重要視されていくでしょう。ウェルビーイングはビジネスにとっても良い影響があるため、さまざまな施策に挑戦する会社が増えています。また個人でできる取り組みとして、人と交流したり体を動かしたり何かに没頭してみるのもおすすめです。

※記載の情報は、2023年7月時点の内容です。