2023年11月14日 更新

EDI(Electronic Data Interchange)とは?種類と導入メリットも解説

EDIとは電子データ交換のことを指します。メール、書類、電話でのやり取りが不要になるため、EDIの導入は業務の効率化につながります。ただし、導入を検討する際には取引先の普及率や業界内での需要を考慮し、準備と連携が重要です。この記事ではEDIの定義、メリット、注意点、種類、導入前の準備について解説します。

EDIとは。定義と普及した理由

EDIとは「Electronic Data Interchange」の略称で、「電子データ交換」という意味です。電子データを用いるため電話やFAX、書類でのやり取りが不要になります。そのため、業務の効率化やペーパーレス化に有効です。まずは、EDIとは何か定義や普及している理由を解説します。

EDIとは

EDI(Electronic Data Interchange)は、インターネットや専用回線を通じデータのやり取りを効率的に行うためのシステムです。このシステムではコンピュータ同士が直接接続し、人が介入せずとも標準化された方法でデータを自動的に処理します。

これにより、受注書や発注書などの書類の電子的なやり取りが可能になり、企業間の業務連携がスムーズに行われます。

EDIの定義

EDIのメッセージは、書類と同等の意味と機能を持ちます。EDIを用いた企業間のデータ交換は書類の交換と同じ法的効力があると、平成元年に通商産業省(現: 経済産業省)の電子機械相互運用環境整備委員会で定義されました。

一方で、電子メールはEDIに該当せず、インターネットを使用していても、手動でやり取りされるため「コンピュータ(端末を含む)間での自動的なデータ交換」というEDIの特徴には当てはまりません。

EDIが普及した理由

EDI取引は、双方の負担とコストを削減し、企業間の商取引を効率化するための手段です。業務の効率化とペーパーレス化を促進します。

国内のBtoB電子商取引市場の成長に伴い、EDIの導入企業が増加。なかでも大規模な取引企業では、EDIの導入が流通最適化の必要条件とみなされています。

EDI導入のメリット

EDIを導入するとコスト削減や記入ミスの防止、作業のスピードアップにつながります。ここではEDI導入のメリットについて詳しく紹介します。

コスト削減になる

手作業での注文書へのデータ入力や請求書作成が不要となり、それにより人件費が削減されます。指示を出す手間や時間も減り、これによって労働時間を他の業務に振り分けることが可能です。

さらに、データによる管理に移行することで印刷費用の削減にもつながります。

人為的なミスを防ぐ

パソコンでのデータ入力も、人間の手によるものであり、ミスが発生しやすいです。EDIを使用すれば、取り込んだデータを自動的に処理するため、データの正確性が向上します。

これにより、従来の手作業における記入や入力ミスに費やしていた修正時間が大幅に削減され、業務効率化につながります。

スピードアップにつながる

自動化により、業務スピードが向上し、取引が素早く進行します。

インターネットを利用することで、高速な取引が可能となります。特に流通業界では多様な製品の少量発注や緻密な時間単位の納品指定など、迅速な業務処理が求められるでしょう。

EDI導入時の注意点

EDIはやみくもに導入しても有効活用できません。導入を検討する場合は、取引先の普及率や、そもそも企業同士でのやり取りが多いかどうかを見直してみましょう。

また従来の固定電話回線網を使ったEDIは、2024年1月以降に使用できなくなるので注意です。

取引先もEDIを導入する必要がある

自社単独でEDIを導入しても効果が得られないため、取引先に導入を促しましょう。業種や業界によってはEDIの普及が進んでおらず、導入しても有効活用できないケースもあります。

企業間のやり取りが少ない場合は効果を感じにくい

企業間の取引が少ない場合、EDIの効果を実感するのは難しいことがあります。取引が多い場合、その分の人件費や時間を削減できますが、取引に手間がかからない企業にとってはEDI導入のコストが逆に増加してしまう可能性も。

これまでの業務で取引に手間がかからない企業はすぐに導入を検討する必要はありません。

2024年1月以降は従来のEDIを使用できない

2024年1月から、固定電話回線網がIP網へ移行される予定です。この変化に伴い、従来の固定電話回線網を利用したEDIは使用できなくなります。

したがって、Web-EDIへの移行が必要となります。一部の企業は既にWeb-EDIを採用していますが、従来のEDIを使用している企業も多く存在します。Web-EDIへの移行には、システムの再構築や取引先との互換性を確保する必要があります。

EDIの種類

EDIを導入するには、取引先や業界に合った種類を選ぶ必要があります。EDIには大きく3種類あり、取引先ごとにルールを設定できる個別EDIと、フォーマットが標準化され複数の取引先に使える標準EDI、登録することで同じく利用している取引先とデータ交換ができる業界VAN型にわけられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

個別EDI

個別EDIは、各取引先ごとの要件に応じて通信の形式や識別コードなど詳細なルールを設定できます。

しかしながら、各取引先企業のフォーマットに合わせたシステムやルールの設定が必要となるので、運用負荷が増加する傾向があります。さらに、各取引先企業のフォーマットに合わせたデータ変換システムを用意しなければならず、多くの企業とEDIでやり取りするのは現実的ではないでしょう。取引先がそれほど多くない場合におすすめです。

標準EDI

標準化されたフォーマットのEDIは複数の取引先で利用できるため、複数の企業との取引が容易になります。

さらに、標準規格を利用する多くの企業とのやり取りを支援するデータ変換システムが存在し、ルールやフォーマットが標準化されているため、同じ規格を使用する他の企業との連携がスムーズになります。個別EDIと比較して、運用負担が少ないのが特徴です。

業界VAN型/標準EDI

業界VANに接続すると、そのVANを利用する全ての取引先とデータ交換ができる仕組みです。これはネットワークサービスであり、商品コードや取引先コードも標準化されています。

EDIは業界ごとに標準化が進んでおり、特定の業界向けに商品や取引先コードが統一された個別の業界VANが存在します。同じ業界内でのデータ交換がスムーズに行えるため、業界を越えた取引が多い企業は、複数の業界VANを導入が必要です。

Web-EDIとは

Web-EDIはEDIをインターネットを通じて行う方法です。近年、EDIのクラウド化が進み、EDIを利用している約7割の企業がWeb-EDIを導入しています。

ただしWeb-EDIは導入は手軽ですが、取引は自動化されておらず人的作業が発生します。そのためWeb-EDIは、前述した従来のEDIの定義とは違うものになるのです。

EDI導入前の準備

EDIを導入するときは、データ送受信を円滑に進めるための環境作りや、他社から受信したデータを自社システムで読み取れる形式に変換するなど準備が必要です。自社だけで決めるのではなく、取引先や業界の状況を見ましょう。

取引先との環境を整える

確実なデータの送受信を保証するために、専用の環境を整備が必要です。通常、各企業の基幹システムを専用の回線で接続し、データのやり取りを行います。

この際、通信プロトコル(通信手順や規格)、フォーマット、コード、導入スケジュールなどを事前に取引先と合意し、設定します。

他社から受信データを読み取れる形式に変換する

他社からのデータを受け入れる場合、EDIシステム内のデータ形式に変換する必要があります。

企業ごとに送信するデータの形式が異なるため、導入の際はデータの識別コードを取引先と事前に合意し設定しましょう。

EDIの導入で取引の効率化を図ろう

EDIは、コンピュータ間で行われる自動データ処理による取引システムです。受注書や発注書の電子的なやり取りが可能で、業務の効率化やペーパーレス化に役立ちます。EDI方式でデータを自動処理するため、記入ミスが減り効率的な取引が可能。導入には取引先との連携が必要ですが、その後のやり取りの手間やコストをおさえられます。取引先が多く人件費や時間を使っている企業は導入を検討すると、効率的に取引ができるでしょう。

※記載の情報は、2023年9月時点の内容です。