2025年1月20日 更新

データ分析とは|必要なスキルや代表的な手法、具体的な流れを解説

データ分析とは、企業が収集したデータを整理・加工し、目的に応じて分析を行い意思決定に活用することをいいます。プログラミングなどの技術的なスキルだけではなく論理的な思考力なども求められ、正しい結果を得るには有効な手法を選ぶことも重要です。この記事では、データ分析の意味や必要なスキル、よく用いられる手法、実施の流れを解説します。

データ分析とは?概要と重要性を解説

パソコンの上に映し出されたさまざまなデータのイメージ

データ分析とは、データの収集から活用までの一連のプロセスを指すのが一般的です。まずはデータ分析の意味や重要性を押さえておきましょう。

データの収集から整理、分析までの一連のプロセス

データ分析とは、収集した大量のデータを整理・分類し、統合や加工をした後に、分析を行うプロセスを指します。企業において、日々の業務の中で得られる顧客の動向、ニーズ、市場の動きといったデータは、適切な意思決定を行うための貴重な財産です。集積したデータを分析することにより、これまで気づけなかった課題を発見し、新たなビジネスにつなげられると期待されています。

データ分析が重要視される理由

インターネットの普及により簡単にさまざまな情報に触れられる現代では、消費者の価値観の多様化が急激に加速しています。顧客のニーズを正確に素早くつかむためには、データ分析が欠かせません。さらに新しい製品が次々と生み出される中で企業価値を高めていくには、データに基づいた予測やリスクマネジメントを実施する必要に迫られています。

企業がデータ分析を行うメリット

データを使ってプレゼンテーションをする女性

データ分析を行うと、根拠のある迅速な意思決定が可能となり、課題解決だけではなく新たなビジネスチャンスにつながる可能性もあります。データ分析を行うメリットを見ていきましょう。

先入観を排除したデータドリブン経営が可能になる

データドリブン経営とは、分析によって導き出した根拠のある意思決定を行う経営のこと。ビジネスを進める中で経験も大切ですが、先入観になってしまうと正しい判断が行えなくなります。データ分析を行うことで、そのときどきに応じた客観的で適切な判断が可能になります。

迅速な意思決定・課題解決につながる

データ分析では主観が入り込む余地が少ないため、迅速な意思決定が行えます。データに基づく客観的な分析で、これまで見えていなかった課題が浮き彫りになり早期解決にもつなげられるでしょう。データ同士の関連性も見えやすくなるので、ボトルネックの発見などの期待もできます。

新たなビジネスチャンスを創出できる

単体では意味をなさなかったデータでも、他のデータと統合することで新しい価値が生まれる可能性もあります。これまで活用できていなかったデータを有効活用し、新たな製品の開発や利益の向上に貢献できます。

データ分析に必要な5つのスキル

パソコン操作をするメガネをかけた女性

データ分析には、大量のデータを扱うための技術的スキルと、適切な結果を導くための思考的スキルが求められます。ここでは、データ分析に必要なスキルを5つ紹介します。

①プログラミングスキル

膨大なデータを分析するには、プログラミングスキルは必須です。データ分析で用いられるプログラミング言語は、主にR言語とPythonです。

R言語は大量のデータの高速処理が得意な統計解析に特化した言語で、分析結果を図やグラフで作成できます。Pythonは汎用性に優れた言語で、データ分析以外にもWebサービスや人工知能の開発など、幅広い分野で活用されています。

②バックエンドスキル

ユーザーの目に見えない裏側のシステムをバックエンドといい、データ分析においてはとくにデータベースに関するスキルが欠かせません。データベースを取り扱うには、SQLと呼ばれるデータベース言語を理解しておく必要があります。SQLを用いることにより、データベース内にあるデータの更新・削除、必要なデータの抽出などが行えます。

③データ分析ツールを扱うスキル

近年では、BIツールを始めとするデータ分析に特化したさまざまなツールやサービスがあります。データ分析には煩雑な計算や処理が必要なので、ツールを導入するのが一般的なやり方です。そのためスムーズにデータ分析を行うには、ツールに精通していることも条件の1つです。

④論理的思考力(ロジカルシンキング)

データを見ながら考えごとをするビジネスマン

効果的なデータ分析をするには、「なぜデータ分析が必要なのか」を正しく理解し、目的達成にはどのような分析をするべきか、どのような結果を導き出すべきかを考える力が必要です。これには物事の背景を読み解き、物事を適切に分解し、バイアスに囚われず筋道を立てて考える論理的思考力が問われます。

⑤データの活用力

データ分析は課題解決や目標達成のために行うものであり、単に分析をして終わりではありません。分析から得られた結果を元に経営戦略を打ち立てるなど、有効活用してこそ価値が生まれます。そこで分析結果を踏まえた柔軟な提案を行う力も重要になってきます。

データ分析で用いられる代表的な手法

データの分析には、目的に応じてさまざまな手法が用いられます。ここでは代表的なものを5つ紹介します。

クロス集計

書類を見ながらパソコン操作する女性

クロス集計とは、集めたデータを属性と設問で組み合わせて分析する手法です。アンケート分析の基本として使われていて、例えば縦軸に性別や年代、横軸に「そう思う」「思わない」などの回答結果を設定し傾向を分析します。エクセルなどの表計算ソフトでも手軽に行えるのがメリットです。

クラスター分析

クラスター分析とは、混在するデータの中から似ているデータをグルーピングし分析する手法です。顧客分析や市場分析の際に一般的に使われる手法で、ターゲットのセグメント(分類)や自社のポジショニングの確認などに活用されます。顧客のニーズも見えやすくなるので、今後のマーケティング活動にも役立つでしょう。

バスケット分析

パソコンの上に置かれたミニチュアの買い物カートと虫眼鏡

バスケット分析とは、スーパーやコンビニなどの小売店で消費者が買い物かご(バスケット)へ何を入れたかを分析する手法です。どのような商品が一緒に購入されているかに着目し、同時購買率などを割り出します。結果を元に相性の良い商品を同じ売り場に陳列する、ECサイトなら関連商品として表示することで、購入につなげられる仕組みです。

アソシエーション分析

アソシエーション分析とは、大量のデータの中から相関関係を見出す手法です。主に小売業で消費者の購買行動の関連性を分析するのに用いられ、前述のバスケット分析もアソシエーション分析の一種とされます。「もしこうなら(If)、こうなる(Then)」という関係を導き、根拠のあるマーケティング施策を実現します。

ABC分析

ABC分析とは、商品の金額や売上、コスト、顧客などの評価軸に応じてランク付けし、優先度を可視化する手法です。例えば「売上が月1,000個以上の商品はA」「1,000~500個の商品はB」「500個以下はC」といった具合に分けられます。この場合、Aの売り場を拡充し、Cの売り場を縮小するといった施策で、売上拡大を図ります。

【3ステップ】データ分析を行う流れとポイント

データ分析を行う女性の横顔

最後に、実際にデータ分析を行う流れと、ステップごとのポイントを紹介します。自社に取り入れる際には意識してみてください。

1.目的を設定する

データ分析を行うにあたり、目的を明確にしておくことが大切です。目的によって収集すべきデータや、適切な手法が異なってくるためです。まだ目的がはっきりしていない場合でも、大まかな目標を絞り込み、進める中でより細かい目標を設定していくと無駄になりません。目的が定まったら分析に必要な時間やコスト、課題を洗い出して計画的に進めましょう。

2.データを収集する

目的達成のために、実際に必要なデータを収集します。データを収集するには、自社のデータベースから抽出する、Web上にあるデータを調査する、アンケートを取るなどさまざまな方法があります。必要に応じて関連部署とも連携し、効率的に集めましょう。

3.データ分析をする

収集したデータの形式を整え、不純物は削除するなどの加工を加え、分析を行います。分析においてどの手法を用いるかは、まずは仮説立て、仮説を検証するために適しているものを選ぶのが基本です。

分析後は、評価を行うことでより確度の高い結果を得られます。第三者をまじえ、収集したデータや選択した手法は適切だったか、導き出した結果は正しいものかを客観的に確認します。

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データ分析を効果的に取り入ると適切な意思決定が行える

データを見ながらミーティングを行う男女

目的を持ってデータを収集、分析することで、課題解決や有効な予測につなげるのがデータ分析です。スキルや手法を理解しておく必要はありますが、効果的に取り入れると企業の利益に大きく貢献できるでしょう。ぜひポイントを押さえて実施を検討してください。

※記載の情報は、2025年1月時点の内容です。