2024年5月7日 更新

ポータブルスキルとは?いま必要とされる理由や具体例、身につける方法を解説

ポータブルスキルとは、どんな業種でも活かせる汎用性の高い能力のことです。移り変わりの激しい現代社会や技術の進歩に対応していくために有効であるとして、近年重要視されています。この記事では、ポータブルスキルの意味や必要性、構成要素の一覧、具体的なスキル例、身につける方法を解説します。

ポータブルスキルとは

ポータブルスキル(Portable Skills)とは、業種や職種にかかわらず業務に活かせる能力のこと。日本語で直訳すると「持ち運びできる能力」となり、一定の職種に特化した専門知識や実務スキル以外を指します。例えばコミュニケーション能力や情報収集力などがポータブルスキルに該当します。

ポータブルスキルはビジネスを円滑に進めるための基盤であり、身につけることで多くの企業や業種から必要とされる人材になれるでしょう。企業としてはポータブルスキルに着目することで、質の高い人材の採用や効率的な人材育成、人材配置の最適化に役立ちます。

ポータブルスキルが必要とされる理由

社会の変化や技術の進歩に対応していくためには、ポータブルスキルを磨くことが重要です。ポータブルスキルが近年必要とされる理由を紹介します。

雇用形態の変化

かつて日本では終身雇用が一般的で、能力も勤務年数に応じて評価されてきました。しかし昨今、働き方は多様化し、終身雇用制度や年功序列制度を見直す企業が増え、成果主義へ移行し始めています。非正規労働者が労働者全体の4割を占めるなど雇用の流動性が高まる現代では、他業種では活かしにくい専門的なスキルはキャリア形成の上で必ずしも有利とは限りません。転職を見据えた自身のスキル向上のためにもポータブルスキルが注目されています。

グローバル化の進展

近年ではグローバル化が加速し、人や技術が海外から流れ込んでくるようになり市場競争が激化しています。また、世界で起こった変化が日本社会に影響を与えることも少なくありません。このような現代においては、長期的な事業の成長を見込むことは企業にとってはハイリスクです。専門的なスキルより、業種にとらわれず臨機応変に対応していける柔軟なスキルが求められています。

IT技術の進歩

IT技術の進歩に伴い、さまざまな業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進められています。DXが進むと業種間の物理的な障壁がなくなり、異業種からの参入が容易になります。これまで企業の基盤としてきたビジネスモデルに大きな変化が伴うこともあるため、変化に応じられるスキルは必要不可欠です。

ポータブルスキルの9つの構成要素一覧

ポータブルスキルは人材開発に役立つとして厚生労働省も注目しています。厚生労働省では、ポータブルスキルを構成する要素を大きく「仕事の仕方」と「人との関わり方」に分け、9つの要素を挙げています。構成要素を一覧で紹介します。

①仕事の仕方

業務上どの工程が得意かをみる項目が「仕事の仕方」です。どの業種であっても共通して求められる力です。

<仕事の仕方の要素一覧>

①現状の把握 現状の分析や情報収集する力
②課題の設定 現状を整理し適切な課題を設定する力
③計画の立案 課題解決に向け具体的な計画を立てる力
④課題の遂行 障害やプレッシャーを乗り越える力
⑤状況への対応 トラブルへの対応や責任を取る力

②人との関わり方

業務に関わる全方向の対人スキルをみる項目が「人との関わり方」です。円滑に業務を遂行するためには、関係者とコミュニケーションを取る力も重要です。

<人との関わり方の要素一覧>

①社内対応 関連部署、経営陣、上司から支持を得る力
②社外対応 顧客・社外パートナーと合意形成を図る力
③上司対応 上司に課題への意見を述べたり報告を行ったりする力
④部下マネジメント メンバーの育成、モチベーションアップ、最適な人材配置を行う力

ポータブルスキルの押さえておくべき具体例

厚生労働省が挙げる要素を満たすには、具体的なスキルを身につけていくことが必要です。ポータブルスキルにはたくさんの種類がありますが、なかでも基本となる具体例を紹介します。

あらゆるスキルの基礎となる「思考力」

ビジネスにおける多くのスキルの土台となり、ポータブルスキルの代表とも言えるのが思考力です。思考力のなかで最も基本的なものが、論理的思考とも呼ばれるロジカルシンキングです。物事を筋道を立てて考えて解決に導く力や、客観的な視点で見極める力を身につけると、さまざまなスキルが伸びやすくなります。他にも近年では、既成概念にとらわれずに自分の頭で考え、新しい発想を生み出す力も注目されています。

ロジカルシンキングとは?フレームワークやトレーニングで思考力を鍛えよう

ロジカルシンキングは、効率的に結論を導き出すための考え方のひとつです。本記事では、ロジカルシンキングの概要や、ロジカルシンキングで用いられるフレームワーク、トレーニング方法などを解説します。ロジカルシンキングを身につけたいと考えている人は、フレームワークやトレーニングを取り入れてみてください。

存在価値を示す「課題解決能力」

高い課題解決能力を示せば、どんな業種でも重宝される人材になれます。ビジネスは課題をみつけ、解決策を示し、遂行していくことの連続です。現状の把握から課題の洗い出し、解決策の考案、実行まで、一連のプロセスを身につけると、あらゆるシーンで的確にアプローチすることができるでしょう。

目標に向かって行動を起こす「計画実行力」

課題解決に向け適切な計画を設定し、実際に行動に移せるかは、仕事のパフォーマンスに大きく影響します。着実に計画を実行していくには、「PDCAサイクル」を活用するのがおすすめです。「PDCAサイクル」とは、計画・実行・評価・改善の4つの過程を回していくフレームワークのこと。計画実行力を高めれば、業務を確実にやり遂げられるようになります。

周囲を巻き込む「交渉力」

ビジネスでは他者の協力が必要なシーンが多々あるので、交渉力も重要です。とくにビジネスにおいては、自社のメリットを最大限引き出した上で、相手が納得のいく落とし所で話をまとめる能力が求められます。交渉力を高めるには、会議をスムーズに進行するファシリテーションスキルや、良好な人間関係を築くコミュニケーションスキルにも意識を向けることが大事です。

ポータブルスキルを身につける方法

ポータブルスキルを身につけるには、目標を明確にした上で、研修により理解を深めることが大切です。ポータブルスキルを身につけるおすすめの方法を紹介します。

現状を把握して目標を明確にする

まずは自分の現状を把握して、何が足りないのか、反対にどこが強みなのかを知り、課題を洗い出しましょう。すると自ずと自分が身につけるべきポータブルスキルがみえてくるはず。身につけたいスキルを特定し目標を明確することで、より効果的に行動できるようになります。目標達成までの進捗管理も行うとモチベーション維持にも役立ちます。

厚生労働省の研修資料で学ぶ

厚生労働省では、ポータブルスキルの研修用資料をホームページ上に無料公開しています。テキストの他にもロールプレイング動画などが提供されていて、実際にイメージしながら学ぶことができます。キャリアチェンジに活かしたい人はもちろん、社内セミナーや研修を実施したい場合にもおすすめです。

社外の研修を活用する

民間企業が提供するポータブルスキル習得のための研修サービスを利用するのも良いでしょう。研修形式はさまざまで、自ら研修施設に出向く場合もあれば、社内研修を行ってくれるところもあります。幅広い内容のものが提供されているので、自分に合った研修を選べます。

ポータブルスキルを磨けば時代に対応できる人材になる

思考力やコミュニケーション能力など、分野や業種にかかわらず活かせる能力がポータブルスキルです。社会の移り変わりや技術の進歩が目覚ましい現代においては、とくに重要視されています。ポータブルスキルを身につけることで、円滑に業務遂行できるようになるだけではなく、キャリア開拓にもつながります。研修やセミナーなどを通し、理解を深めていきましょう。

※記載の情報は、2023年11月時点の内容です。