2025年1月20日 更新

構造化データと非構造化データの違いは?メリット・デメリット・利用を徹底比較

「構造化データ」と「非構造化データ」の理解は、データ活用において非常に重要です。構造化データは整理されているため効率的に分析できますが、柔軟性に欠けます。一方、非構造化データは柔軟で広範な情報を扱えますが、高度なスキルが必要です。本記事では、構造化データと非構造化データのそれぞれのメリット・デメリットや違いについて徹底解説します。

構造化データとは?

構造化データとは、事前に定義された形式で整理されたデータのこと。リレーショナルデータベース(RDB)などの表形式でデータが管理されることが一般的です。例えば、企業の顧客データやアクセスログデータなどが構造化データとして挙げられます。

SQLなどのデータベース言語を使うことで、簡単に検索や更新が可能です。構造化データは「スキーマオンライト」としても知られ、データが事前に整形されているため、正確で効率的な操作が行えます。

<構造化データの例>


  • Excel ファイル

  • CSVファイル

  • SQL データベース

  • 顧客データ

  • 在庫管理データ など


構造化データの3つのメリット

構造化データは形成されているため利用しやすいというメリットがあります。詳しく見ていきましょう。

1. 機械学習で簡単に利用できる

構造化データは、機械学習のアルゴリズムにおいて非常に活用しやすいデータ形式です。データが明確に整理され、定められた形式で提供されているため、操作が簡単で、迅速な分析やモデル作成が可能です。

整然としたデータはクエリ作成が簡単で、分析やモデル作成に迅速に利用できます。さらに、構造化データを活用することで、機械学習のトレーニングや予測も効率良く行えます。

2. ユーザーが簡単に利用できる

構造化データは事前に整形されているため、専門的な知識がなくても扱いやすいのがメリット。必要な情報を引き出すために、データの内容や関係性を詳しく理解する必要もありません。ユーザーはセルフサービスでデータを活用でき、効率的に業務を進められます。

3. 利用できるツールが多い

構造化データは長年にわたって使用されてきたため、利用可能なツールが豊富に存在しています。さまざまな企業が、構造化データの利用や分析に特化したツールを提供しています。そのため、データ管理者は自分のニーズに合わせてツールを選択できます。

構造化データの2つのデメリット

構造化データは、データの柔軟性に欠けているのが難点です。構造化データを使用する際のデメリットもチェックしておきましょう。

1. 利用目的が限られている

構造化データは事前に定義されたスキーマに基づいて整理されているため、特定の目的にしか利用できません。そのため、他の用途に転用することが難しく、データ分析の柔軟性が制限されます。あらかじめ決められた目的以外で使用するには、データの再構築や調整が必要となり、応用範囲が狭くなる点がデメリットです。

2. コストが非常にかかる場合がある

構造化データは、データウェアハウスに保存されることが一般的です。要件の変更があった場合、データ全体の更新が必要となり、コストがかかってしまいます。特に、ストレージ容量の確保やデータの整合性を保つための作業には、膨大なリソースと時間が必要です。

ただし、クラウドベースのデータウェアハウスを活用することで、スケーラビリティを確保し、オンプレミスの設備にかかるメンテナンス費用を削減できる可能があります。

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非構造化データとは?

非構造化データとは、あらかじめ定められた形式や構造を持たないデータのこと。これらは事前に整形されず、そのままの形式で保存されるため、使用時にデータの処理が必要です。スキーマが定義されていないため、分析や利用時にはデータの加工や解析が求められます。


  • メール

  • チャット

  • 画像

  • 音声データ

  • SMSの投稿

  • IoTセンサーのデータ など


非構造化データの3つのメリット

PCでSMSを使う人

構造化データは非構造化データに比べ、保存形式が自由なため利用しやすいといった特徴があります。非構造化データのメリットを紹介します。

1. 柔軟にデータを活用できる

非構造化データは、元の形式のまま保存されるため、用途に応じて柔軟に変換できるのが特徴です。必要な部分を抽出して分析することで、効率的に処理できます。また、保存形式に制限がないため、多様なデータソースにも対応可能です。

これより、データサイエンティストは特定の用途に応じて必要なデータを柔軟に活用でき、企業はさまざまな種類のデータを分析することで新たな知見を得ることができます。

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2. 大量のデータを効率的に収集できる

非構造化データは、事前の整形が不要なため、データ収集を迅速かつ効率的に行えるのもメリット。データの種類に関係なく簡単に収集できるため、大規模なデータ集積に非常に適しています。これにより、短時間で大量の情報を得られることで、リアルタイム分析や意思決定のスピード向上にも貢献します。

3. コスト削減とスケーリングができる

非構造化データの多くは、クラウドデータレイクに保存されます。クラウドデータレイクは従量課金制を採用しており、使用した分だけ料金が発生するため、コスト削減につながるのもメリットの1つ。

さらに、データレイクは大量のデータ保存に対応しており、必要に応じて容量を簡単に拡張できるため、高いスケーラビリティを備えています。このような仕組みにより、膨大なデータが必要な場合でも、コストを抑えながら柔軟に対応可能です。

非構造化データの2つのデメリット

非構造化データはスキルや専用ツールが必要など、利用が難しい場合もあります。非構造化データを利用する際のデメリットを紹介します。

1. データサイエンスのスキルが必要

非構造化データは未定義の形式で保存されるため、そのまま利用するにはデータサイエンスの専門知識が不可欠です。ビジネスユーザーが活用するには、データの関連性や分野を理解し、整理・分析するためのスキルが求められます。非構造化データの利用には手間がかかり、適切なデータサイエンスの知識がない場合には活用が難しいのがデメリットの1つです。

2. 専用のツールが必要

非構造化データを扱うには標準的なツールではなく、専用の分析ツールが必要で、利用できるツールの選択肢も限られます。

例えば、画像データの解析には専用の画像解析ツールが必要ですが、この分野のツールは未成熟なものも少なくありません。専門ツールの不足は、データ活用の幅を制約するため、非構造化データの導入や利用においては負担が増えるでしょう。

【比較】非構造化データと非構造化データの違い

構造化データと非構造化データの違いを比較しやすいように表にまとめました。

項目 構造化データ 非構造化データ
データ利用のしやすさ 利用しやすい 専門知識が必要
データ収集のしやすさ 収集しにくい 収集しやすい
データ利用の柔軟性 低い 高い
分析ツールの豊富さ 豊富 限られている
保存場所 データウェアハウス データレイク
保存形式 事前定義されたスキーマ ネイティブ形式
利用場面 定型的なデータ分析、報告業務など 画像・音声解析、テキスト分析など

構造化データは定型的な分析に、非構造化データは柔軟な活用に適しています。

半構造化データとは?

JSONのデータ

半構造化データは、非構造化データの一種であり、部分的に規則性を持つデータのことです。代表的な例として、XMLやJSONフォーマットのデータが挙げられます。構造化データに比べて柔軟性があり、整理すれば構造化データに変換できます。

半構造化データにはメタデータが含まれており、効率的な検索や分析が可能です。また非構造化データよりも階層化され、ある程度整理されているため、活用しやすい特徴もあります。

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構造化データと非構造化データを使い分けて効率的なデータ活用を

構造化データは、事前に定義された形式に基づいており、分析が容易です。一方、非構造化データは特定の定義がないため、柔軟性と多様性に優れています。両者にはそれぞれ利点と課題があるため、目的に応じて適切に使い分けることが重要です。それぞれの特徴を正しく理解し、データの効果的な活用を目指しましょう。

※記載の情報は、2025年1月時点の内容です。