2024年5月7日 更新

エンプロイアビリティをわかりやすく解説。雇用される能力を高める方法とは

エンプロイアビリティとは、企業に雇用される能力を指します。キャリアアップやライフステージの変化による転職が珍しいことではなくなってきている昨今、企業から求められる能力の1つです。本記事ではエンプロイアビリティの概要や分類について解説。さらに、エンプロイアビリティを高めるメリットと方法を紹介します。

今注目される「エンプロイアビリティ」とは

始めにエンプロイアビリティの概要について解説します。エンプロイアビリティの意味と注目されている理由、エンプロイアビリティの3つの要素について見ていきましょう。

エンプロイアビリティ=雇われる能力

エンプロイアビリティは、雇用するという意味のEmployと能力という意味のAbilityが組み合わさった言葉です。直訳すると、雇われる能力となります。具体的には、企業に雇用される能力、雇用し続けてもらう能力、異動や転職できる能力などを指します。企業に雇いたいと思わせる力とも言えるでしょう。

エンプロイアビリティは、専門的な知識や実務能力以外にも、コミュニケーション能力やモチベーションなど幅広い能力を指しています。

エンプロイアビリティが注目される理由

エンプロイアビリティが注目を集めている理由は、日本の雇用形態が転換期を迎えているからです。日本型雇用制度であった終身雇用や年功序列は、今や過去のものとなりつつあります。雇用は流動的になり、形態や雇用される側の意識にも変化が見られるようになりました。労働者側は、今の会社だけでなくどこでも通用する知識やスキルを身に付けたいと考えるようになってきています。

エンプロイアビリティの3つの要素

厚生労働省は、エンプロイアビリティの定義を「職務遂行に必要となる特定の知識・技能などの顕在的なもの」「協調性、積極的等、職務遂行に当たり、各個人が保持している思考特性や行動特性に係るもの」「動機、人柄、性格、信念、価値観等の潜在的な個人的属性に関するもの」の3要素に分類しています。

職務遂行に必要となる特定の知識・技能などの顕在的なもの 資格や経験に基づく技術、職種への適性など
客観的に把握しやすい
各個人が保持している思考特性や行動特性に係るもの 仕事への意欲や積極性
コミュニケーション能力など
潜在的な個人的属性に関するもの 個人に属している人柄や性格
仕事に対するモチベーション、価値観など
目に見えにくく計りにくい

評価の際には、目に見えにくい3つ目の要素は除外される傾向にあります。

出典:エンプロイアビリティの判断基準等に関する調査研究報告書概要

エンプロイアビリティの種類

エンプロイアビリティは視点によって、いくつかの種類に分けられます。代表的な分類は、絶対的エンプロイアビリティと相対的エンプロイアビリティ、外的エンプロイアビリティと内的エンプロイアビリティです。それぞれ詳しく紹介します。

絶対的・相対的エンプロイアビリティ

絶対的エンプロイアビリティとは、時代や市場ニーズなどの状況に左右されず常に必要とされる能力です。機械やIT技術で代替できない知識や技術、ノウハウなどが、これに当たります。あらゆる業務の基盤となるような知識や資格も、絶対的なエンプロイアビリティです。絶対的エンプロイアビリティを身に付けていれば、時代や環境の変化にかかわらず安定して働くことが可能です。

対して、相対的エンプロイアビリティは、時代や市場のニーズの変化によって価値が変わる能力です。社会情勢が変わりやすくニーズが多様化している現代は、ほとんどが相対的エンプロイアビリティであると言えます。

以前は価値のあったスキルやノウハウが、テクノロジーの急速な進化によって自動化され、価値がなくなることも。一方で、今までは重視されていなかった能力が時代の変化によって注目されるようになるかもしれません。相対的エンプロイアビリティを身に付けるには、時代のニーズを把握して、今後どんなスキルや知識が必要とされるかを考慮する必要があります。

外的・内的エンプロイアビリティ

外的エンプロイアビリティアビリティは、転職または社内異動があっても、雇用され得る能力のことです。どの業界、企業でも有用な幅広い知識や経験を持つ人、特定の領域で秀でたスキルや知識を持つ人、国家資格を持つ人など外的エンプロイアビリティが高いと言えます。

内的エンプロイアビリティとは、会社に雇用され続ける能力のことです。社内で必要な専門知識やノウハウを身に付けていることが多く、高い業績を上げて企業に貢献しているなど、その企業にとって必要な人材であると思われる人が、内的エンプロイアビリティの高い人です。社内評価が高ければ、会社の業績が悪くてもリストラを回避できるかもしれません。

エンプロイアビリティを高めるメリット

エンプロイアビリティを高めると、社内からも社外からも必要とされる価値ある人材になるため、さまざまなメリットを享受できます。例えば、自身のスキルが上がることで転職市場における価値が高まり、キャリアアップを実現しやすくなるでしょう。また、社内評価も上がるので、給与のアップや希望する部署へ異動に有利になるといった効果が期待でき、モチベーションを維持できます。

エンプロイアビリティを高める方法

メリットの大きいエンプロイアビリティは、積極的に高める努力をしたいもの。エンプロイアビリティを高めるためにできることについて、紹介します。

1.自分の目標やキャリアプランを明確にする

始めに、自分の目標やキャリアプランを明確にすることが重要です。達成に向けて、自分の強みや課題を把握して、課題を克服するために何をすれば良いかを考え、エンプロイアビリティの現状を把握します。すると、自身のキャリアデサインを描きやすくなるでしょう。

また、目標に少しずつ近づいているのを実感することで、エンプロイアビリティとともに仕事へのモチベーションや自己肯定感も向上できます。

自分の強みの見つけ方5選|印象に残る自己アピールは正しい自己分析から

企業が面接の際に就活生や転職希望者に求める、自分の強み。自分の強みを正しくアピールすることが、合否を左右することも少なくありません。とは言え、自分の強みが分からない、分かっていてもどのように伝えれば良いのか分からない人も多いようです。自分の強みとはどのようなものなのか、自分の強みの見つけ方とアピール方法について紹介します。

2.市場の人材ニーズを把握する

エンプロイアビリティを高めるには、どんなエンプロイアビリティが必要とされているのかニーズを知っておく必要があります。エンプロイアビリティの多くが相対的なエンプロイアビリティである現代では、求められるものも常に変化しています。今現在ニーズの高い人材とはどんなものかを明確にした上で、エンプロイアビリティ向上に取り組みましょう。キャリアアップや転職を考えるなら、ニーズの把握は特に大切です。

3.有能な人との関係を構築する

一緒にいると自分の思考力やモチベーションを高めてくれるような、知的で有能な人達のなかに身を置くことはとても有効な手段です。人間は身の周りの人に影響を受けやすいもの。成功者の経験談に耳を傾け、行動特性やコミュニケーション能力にふれると、新たな知識を得られたり、モチベーションアップにつながったりします。多くの人が集まる場に行き、自身のスキル向上や新しい情報の取得のために主体的に行動することが大切です。

エンプロイアビリティを高めて必要とされる人材を目指そう

エンプロイアビリティは、企業や組織に必要とされ、雇用したいと思わせる能力です。どんな人材が今必要とされているのか把握した上で、主体的にスキル獲得に向けて取り組むことが大切です。エンプロイアビリティを高めて、労働市場で必要とされる人材を目指しましょう。

※記載の情報は、2023年8月時点の内容です。

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