2024年5月7日 更新

スクラムマスターを目指すには?知っておきたい仕事内容や必要なスキルを解説

スクラムマスターは、スクラム開発においてチームの潤滑油のような役割を担う存在。責任者とはまた違った立場から、チームをサポートしたり管理したりすることが大きな特徴です。本記事では、スクラムマスターの役割や仕事内容、必要性、役立つスキル・資格など、スクラムマスターを目指すために知っておきたい事項をわかりやすく解説します。

スクラムマスターとは

スクラムマスターという仕事を知るために、まずはスクラム開発の概要から見ていきましょう。スクラムマスターの役割や類似する仕事との違いも解説します。

スクラム開発について

スクラム開発とは、アジャイル開発(1〜4週間ごとに「計画→設計→実装→テスト」のサイクルを回しながら行われるソフトウェア開発)の手法のひとつ。チームでそれぞれ役割を担当することでタスクを分散させ、お互いにコミュニケーションを取りながら開発を進めていくフレームワークです。連携し合う姿が、ラグビーのスクラムを組む様子に似ていたため、この名が付けられました。

スクラム開発では、プロダクトオーナー・スクラムマスター・開発チームが連携し合って開発を進めていきます。そして、この中でファシリテーター的存在となるのがスクラムマスターです。

スクラムマスターの役割

スクラムマスターは、スクラムチームが目標達成までのプロセスを正しくスムーズに行えるよう、管理・進行を行います。プロセスの中で目標達成の妨げとなるものを取り除き、チームとチーム外(プロダクトオーナーなど)の間に入って調整を行いながら、プロセスを改善し目標達成へと導くことが主な役割です。

プロジェクトマネージャーとの違い

スクラムマスターとプロジェクトマネージャー(PM)はよく比較されますが、この2つはそれぞれ違う役割を持っています。プロジェクトマネージャーはプロジェクトのリーダーです。そのため、プロジェクトに焦点を置いて動きます。

対してスクラムマスターは、先述したように、スクラムチームとプロダクトオーナーの間に立ってプロジェクトをサポートする存在で、プロジェクトの責任者とは異なります。そのため、スクラムマスターにはプロジェクトマネージャーのような意思決定・業務指示などの役割はありません。

スクラムマスターの必要性

スクラムマスターなしでスクラム開発を行う場合、以下のような問題が生じると予想されます。


  • プロダクトバックログ(必要なアイテムや作業をリスト化したもの)における優先度が正しく設定されない。

  • スクラム開発の進行(進捗を全体的に管理)する人がおらず、上手く連携が取れない。

  • 問題が発生した際、対応策がなかなか生まれず解決が遅れる。

こうしたスクラムマスター不在の開発において予想されるさまざまな問題は、目標達成を大きく妨げかねません。それゆえに、これらの問題に対応する、知識・技術に長けたスクラムマスターの必要性は高いと考えられます。

スクラムマスターの仕事内容

続いて、スクラムマスターの具体的な仕事内容を見ていきましょう。スクラムマスターは、主に次のような業務を行います。

ミーティングの実施

チームが円滑に開発を進められるよう、スクラムマスターは主に「スプリント計画ミーティング」「スタンドアップミーティング」「スプリントレビューミーティング」の3つを実施します。


  • スプリント計画ミーティング


  • 各スプリントスタート前に行われる。スプリントの内容をプロダクトオーナーとともに決定。スクラムマスターはミーティングに必要なデータ・見積もりを用意し、必要に応じて全体の進行を行う。


  • スタンドアップミーティング


  • 毎日実施される。スクラムマスターは前日の成果(タスク・完了度合い)を確認し、当日の予定決定を行う。


  • スプリントレビューミーティング


  • スプリント終了ごとに開かれる。完成したソフトウェアのレビューをしつつ、次回のスプリントの質を上げるため、実際に発生した問題・改善点を洗い出す。

チームに発生した問題・障害の解決

スクラム開発のプロセスで、進捗を妨げる問題や障害が発生することがあります。これらを取り除くのもスクラムマスターの仕事のひとつです。基本的にはチームメンバーで解決できるよう導く役目ですが、場合によってはスクラムマスターが直接解決のために動いたり、外部の協力を仰いだりします。

プロダクトオーナーのバックログ作成フォロー

プロダクトに関する指示や決定を行うプロダクトオーナーのフォローもスクラムマスターの仕事。プロダクトオーナーが意思決定を行いやすいよう、必要に応じてバックログの作成をフォローします。

スクラムマスターに求められるスキル

スクラムマスターは高度な仕事を遂行する立場であるため、幅広いスキルが求められます。ここでは、スクラムマスターとして働く上で求められるスキルを解説します。

ファシリテーションスキル

状況をしっかり分析したうえで問題を明確にして、筋道が立った解決策を導き出す、いわゆるファシリテーションスキルはスクラムマスターに不可欠。また、解決策をただ提示するのではなく、ときにはチームメンバーが自分達で解決方法に辿り着けるようサポートするスキルも必要です。

コミュニケーションスキル

スクラムの調整役として、スクラムやプロダクトに関わる人と逐次やり取りを行う必要があるため、高いコミュニケーションスキルが求められます。スクラムマスターの仕事は、チームメンバーやプロダクトオーナーなどとのコミュニケーションなくしては成り立ちません。また、口頭のコミュニケーションだけではなく、書面上でコミュニケーションをとる能力にも長けている必要があります。

開発に関する専門的知識・技術

スクラムマスターが直接開発作業を行うことはありませんが、スクラム開発の進捗をサポートする役割がある以上、開発に関する専門的知識は不可欠です。スクラム開発に慣れていない段階であれば、なおさら技術も身に付けておきたいところです。

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スクラムマスターに役立つ資格

スクラムマスターは資格職ではありません。しかし、役立つ資格の取得を目指すことで、スキルを身に付けられる、資格が自分のスキルの証明になるといったメリットがあります。最後に、スクラムマスターの仕事に役立つ資格を紹介します。

認定スクラムマスター(CSM)

CSMは、スクラムマスター関連の資格の中で最もポピュラーな資格。スクラムマスターの基本的なスキルを証明できます。事前研修(2日間)を受けた後に受験資格を得ることができ、研修費用は約30万円です。難易度はそれほど高くないので、スクラムマスターとしての経験が浅くてもチャレンジしやすいでしょう。

Professional Scrum Master(PSM)

PSMはスクラムマスター関連の資格の中では難易度が高めです。資格はPSM1~3まで3段階あり、上位レベルを受けるためには下位レベルに合格している必要があります。

事前研修の参加は任意であり、受験資格には含まれません。ただし、実務経験がなければ答えるのが難しいような問題もあるので、研修を受けない場合も事前の十分な学習が必須です。なお研修は基本的に英語ですが、翻訳・通訳が利用できます。

Licensed Scrum Master(LSM)

研修時のワークショップの人気が高いLSM。受験資格は、事前研修を受けることで得られます。試験の難易度は低めで、実務経験のない人でも挑戦しやすいでしょう。研修(2日間)費用に約20万円かかりますが、不合格でもすぐに再受験が可能で、取得しやすいのも特徴です。

スクラムマスターの仕事内容を知り今後のキャリアに活かそう

スクラムマスターは、スクラム開発をスムーズに進行・成功させるための鍵となる存在です。仕事はチーム内外多岐に渡り、高いスキルが求められますが、チームをファシリテートし目標へと導くことで大きなやりがいを得られるでしょう。ぜひ今後のキャリアのひとつとして、スクラムマスターを目指してみてはいかがでしょうか。

※記載の情報は、2022年11月時点の内容です。

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