VUCA 時代の到来で変化が加速するこの世の中で企業として生き残っていくためには、迅速な意思決定と新ビジネスの早期実現が不可欠になってきます。さらには「働き方改革」の名の下で求められる長時間労働の是正から、深刻化する人手不足に対応するための生産性の向上など、経営環境が激変するなか、日本企業はさまざまな変革を求められています。
本記事では当社が実際に行った会社変革の一部をご紹介いたします。
従来のSIerの働き方
皆さん、SI(システムインテグレーション)という仕事はご存じでしょうか?
ITに精通している方や興味がある方であればご存じだと思いますが、
SIとは顧客の使用する情報システムの企画、設計、開発、構築、導入、保守、運用などを一貫して請け負うサービスのことで、そのような業務を請け負う事業者をSIerと言います。
従来は企業で使用するシステムは、SIerのようなシステム開発会社に委託することが当たり前でした。
ですが、今ではクラウドの普及により、SaaS、IaaS、PaaSといったプラットフォーム・インフラ構築がサービス化し、また、実際のサービス開発もクラウドで賄えるようになり、ゼロベースでのスクラッチ開発を選択する理由が乏しい時代に突入しています。日本のSIerが最も得意としていた「独自仕様のスクラッチ開発」の需要自体が低下しているわけです。
また、これまでの国内SIerが最も得意としていたのは「顧客要望を忠実に実現する」ことです。要望を忠実に再現するだけの正確さ、技術力、動員力を持っていました。その一方で、顧客のビジネスモデル転換のきっかけになるような「高付加価値型」、「創発型」の提案はあまり行われていませんでした。これはSIerの問題というよりも、日本社会全体の慣習というべきかもしれません。
VUCAの時代で変化が激しく、誰も正解が分からない社会では、SIerとしても、これまでとは違う「提案型」が今後は求められてきます。
事業構造の変革
当社は設立当初からこのSI事業を行っており、顧客の要望にマッチするシステムを開発するために、顧客の要望を引き出し、依頼された通りに作ることを強みとしていました。
そんな中2016年に会社を根底から揺るがす大事件が起こったことにより、事業に対して「変わることはない」と思っていた神話が崩壊してしまったのです。従来の当社のような事業構造が決して悪いということではありません。ただ、それだけではこれからの時代を生き抜くのは難しいのも事実です。そのため当社は、モード1(守りのIT組織)×モード2(攻めのIT組織)を掛け合わせた「バイモーダルIT」へと事業構造を変革していったのです。
バイモーダルITとは
バイモーダルITとは、IT調査会社のガートナーが2015年に提唱した考え方で、コスト削減や効率化を重視するSystem of Record(SoR)向けの「モード1」と、柔軟性や俊敏性が求められるSystem of Engagement(SoE)向けの「モード2」という“2つの流儀”を使い分ける手法のことです。ウォーターフォール型開発とアジャイル開発という開発手法の違いに用いられることもあるほか、モード1の組織とモード2の組織を分けるべきか、あえて一つにまとめるのかといった組織論の話などにも用いられます。
そして当社はバイモーダルへ変革するため、モード1とモード2を以下のように定義付け、様々な施策に取り組みました。
バイモーダルな人材育成へ
まず、取り組んだこととしては人材育成です。
当社の人材育成は2016年以前までヒエラルキー組織で画一的なキャリアパスがあり、社内で必要とされる人材となるための育成を行ってきました。
それを2017年から、自分の役割を理解し世の中で必要とされる人材となるための育成に変革をしました。それにより、自分自身の役割とは何なのかをしっかりと把握し、一人ひとりが自主的に考え成長していくということが可能となりました。
テクノベーションセンター・ビジネスイノベーションセンター発足
当社がバイモーダル組織と変革するためには、更なる技術力の向上と新たなイノベーションの誘発をする必要がありました。そのために発足したのが「テクノベーションセンター」です。テクノベーションセンターでは主に、技術力向上のためモダンインフラ開発の推進とプロジェクトマネージメントの強化、先端技術の調査・支援、PoC立案・支援等を行っています。テクノベーションセンターがあることで、それぞれの事業部で困っていることや技術について相談・支援を受けることができ、顧客へより良い製品・サービスを提供することにつながっています。
そして、テクノベーションセンターで研究された最先端技術を実際のビジネスモデルに適用し新規ビジネスへとつなげることも行っており、そのために発足したのが「ビジネスイノベーションセンター」です。当社の技術を使い、新たなビジネスを創出できないかと日々考え、2022年現在は組織を「ビジネスプランニングセンター」へと進化させ活動しています。
実際に形となった成果
このような施策を行った結果は、確実に形となって表れています。例えば「Freshers Lab(フレッシャーズラボ)」という当社の新人研修では、新卒1年目が考えたコミュニケーション支援サービス「Homer」がアプリとしてリリースされました。また、テクノベーションセンターとビジネスイノベーションセンターの連携から、当社の新サービス「HULFTSquare」が生まれています。
攻めと守りのバイモーダルITをしっかりと理解し同じベクトルを向いて進んだからこそ、新たなビジネスの創出につながったのだと思います。
VIDEO
次世代クラウド型データ連携プラットフォーム「HULFT Square」コンセプト動画
非連続な変化が加速する中、会社としての在り方、個人としての在り方を考え、成長していくことが今後さらに重要になってくるでしょう。
次回以降は、当社の新人研修「Freshers Lab」の内容についてご紹介できればと思います!