2022年5月23日 更新

アンガーマネジメントとは?怒りをコントロールするテクニックを紹介

アンガーマネジメントとは、怒りと上手に付き合うための心理トレーニングです。些細なことでイライラしたり怒ったりするのをコントロールするための対処法として注目されています。本記事では、アンガーマネジメントによって得られる効果や具体的なやり方を解説。アンガーマネジメント診断による怒りのタイプもあわせて紹介します。

知っておきたい“怒り”のメカニズム

アンガーマネジメントについて見ていく前に、まずは怒りのメカニズムについて押さえておきましょう。怒りの感情は、自己防衛のために生じるといわれています。怒ることにより、ストレスを発散しているという一面があるため、とにかく怒りを抑え込めば良いというものではありません。

人は怒りを表に出す前に「悔しい」「悲しい」「不安」「つらい」といった、ネガティブな感情を心の中に溜め込む仕組みを持っています。これらの感情が許容量を超えてしまうと、怒りとして表に溢れ出てくるのです。  

アンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメントは、1970年代にアメリカで提唱された心理トレーニングです。近年日本でも注目されるようになり、研修などに取り入れる企業も増えています。アンガーマネジメントとはどんなものか、また注目されている背景を解説します。    

アンガーマネジメントの意味

アンガーマネジメントとは、怒りを抑えるのではなくコントロールし、問題解決につなげるスキルのこと。怒る必要がある場合は適切に怒りを表現し、怒る必要がない場合は冷静になれるようなトレーニングを行います。  

アンガーマネジメントが注目されている背景

日本でアンガーマネジメントが注目されている理由のひとつに、現代社会における価値観の多様化が挙げられます。近年、さまざまな価値観を受け入れ、認め合うことが重要視されるようになりました。

ビジネスシーンにおいては、自分とは異なる価値観を容認できずに怒りをぶつけてしまうと、パワハラとして受け取られるケースも。また、叱った(怒りをぶつけた)相手のモチベーションが下がり、企業の生産性の低下へとつながる可能性もあります。そのため、怒りの感情を適切に表現するテクニックが必要とされているのです。

アンガーマネジメント診断による怒りのタイプ

ひと口に怒りと言っても、細かいタイプや特徴はさまざま。ここでは、アンガーマネジメント診断による怒りのタイプを見ていきましょう。日本アンガーマネジメント協会の診断では、怒りのタイプが6つに分けられ、それぞれ動物に例えられています。自分がどのタイプかをチェックして、アンガーマネジメントに役立ててください。

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参考:【公式】日本アンガーマネジメント協会

1. 公明正大(熱血柴犬)タイプ

自分の信念や正しさを重視し、定めた目標に向かって突き進むタイプです。正義感が強いため、周りから頼りにされることも多いでしょう。一方で、規則やルール違反を見聞きすると怒りやすい傾向があります。自分のルールや価値観を押しつけず、寛容になることが大切です。

2. 博学多才(白黒パンダ)タイプ

向上心が高く、困難な状況であっても物事をやり遂げようと努力するタイプです。完璧主義であるため、自分にも他人にも厳しくなりすぎる傾向があります。物事に白黒をつけないと気が済まず、優柔不断な人に対してイライラすることも。完璧を求めすぎずに、物事には白黒はっきりさせられない中間があっても良いことを受け入れましょう。  

3. 威風堂々(俺様ライオン)タイプ

自分に自信があり、リーダー的要素を持つタイプです。プライドが高いため、自分に対しての意見や低い評価があったり、思いどおりに物事が進まなかったりすると、不満や怒りを感じることがあります。意見や評価を自分への批判として捉えないよう意識しましょう。

4. 外柔内剛(頑固ヒツジ)タイプ

表向きは穏やかな印象を与えますが、内に確固たる芯を持っているタイプです。自分が決めたことは最後までやり通す強い信念を持っています。一方で、自分の信条に反していることに直面するとストレスを感じ、怒りの感情へとつながります。自分の信条を緩めると怒りも収まりやすいでしょう。

5. 用心堅固(慎重ウサギ)タイプ

冷静かつ慎重に物事を進めるタイプです。人付き合いも慎重で、時間をかけて人間関係を構築します。他人を一方的に評価し、自分と比べて妬みや怒りを感じる場面も。他人への思い込みを捨て、ときには周りに頼るようにすると、相手との距離も縮まるでしょう。

6. 天真爛漫(自由ネコ)タイプ

自分の気持ちを素直に表現できるタイプです。好奇心旺盛で自由に行動することが好きなため、行動を制限されるとストレスを感じてしまうことがあります。また、思った通りに行動しない人やはっきりした意思表示をしない人にイライラしやすい傾向もあります。行動する前に一旦立ち止まり、相手の意見にも耳を傾けるようにしてみましょう。

アンガーマネジメントで得られる効果

アンガーマネジメントによって、怒りのコントロールができるようになるだけでなく、価値観や相手への許容範囲が広がります。また、周囲とのコミュニケーションも円滑になるでしょう。これらの効果を詳しく紹介します。

怒りをコントロールできるようになる

怒りをコントロールすることにより、職場での対人関係や業務などへの悪影響を避けられます。結果的に、自分だけではなく周囲の仕事のモチベーションの維持や向上にもつながるでしょう。

また、アンガーマネジメントは育児にも効果的と言われています。注意しても聞かない子どもに対して頭ごなしに叱らず、感情をトーンダウンさせれば、冷静に落ち着いて対応できるようになります。

価値観の多様性に寛容になれる

価値観の多様性に対して寛容になれることも効果の1つ。アンガーマネジメントを通して、世の中にはさまざまな価値観があり、自分の持つ価値観が絶対ではないと認識できるようになれば、他人に対しても寛容になれます。その結果、怒りを感じる場面も少なくなり、物事を柔軟に考えられるようになります。

周囲とのコミュニケーションが円滑になる

アンガーマネジメントは、周囲の人と円滑なコミュニケーションを図る上でも効果的です。怒りの感情を整理できるようになれば、怒りの原因や自分の意見を相手が納得して受け入れやすい表現で伝えられます。そのため、周囲と建設的な意見交換や円滑なコミュニケーションが可能になります。

アンガーマネジメントのやり方

最後に、アンガーマネジメントの具体的なやり方やテクニックを紹介します。テクニックを身につけて、怒りの感情を上手くコントロールしましょう。    

怒りを感じたら6秒数える

怒りの感情が生じたら、まずは6秒間待ってみましょう。怒りの感情は衝動的に出やすいですが、ピークは最初の6秒間と言われています。心の中で1~6までカウントする、「大丈夫」「気にしない」などの言葉を繰り返すなどすれば、次第に気持ちが落ち着いていきます。その場からしばらく離れて心を落ち着かせるのも良いでしょう。

「~するべき」の許容範囲を広げる

怒りは自分の価値観である「~するべき」から生まれるため、この「~するべき」の許容範囲を広げる努力をすれば、相手に対して寛容になれます。「許容できる」「〇〇までなら許容できる」「許容できない」と範囲を分け、「〇〇までなら」の部分を少しずつ広げてみましょう。そうすると、相手に対して寛容になり、ストレスが軽減したり怒る頻度を下げたりできます。

自分で変えられることにのみ注力する

自分で変えられる事柄にのみ注力して、行動をコントロールしましょう。例えば、電車のトラブルで遅刻しそうなときはイライラしがちですが、この事柄は自分の力では変えられません。イライラしても無駄にエネルギーを使うだけになってしまいます。

状況を変えられる事柄である場合も、ただ怒るのではなく、要望や怒っている理由などを相手に伝えて、状況を変えるための行動を取ると良いでしょう。

怒りに点数をつける

一番強い怒りを10点満点として、そのときの怒りに点数をつけてみましょう。怒りを客観的に見ることができるため、怒りが静まり気持の切り替えができます。6秒数えるテクニックと一緒に行うとより効果が得られるでしょう。

アンガーマネジメントを活用して怒りを上手くコントロールしよう

アンガーマネジメントは、怒りを抑え込む方法ではなく、怒りと上手に向き合い適切にコントロールするトレーニングです。日常的にアンガーマネジメントを取り入れることで、良好な対人関係を構築でき、コミュニケーションも円滑になるでしょう。アンガーマネジメントについてより詳しく学びたい場合は、書籍を参考にしたり、セミナーに参加したりするのもおすすめです。    

※記載の情報は、2022年5月時点の内容です。

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