2023年5月9日 更新

GX(グリーントランスフォーメーション)とは|企業のメリットと取り組み事例を紹介

GX(グリーントランスフォーメーション)とは、クリーンエネルギーを活用し、環境改善と経済社会システムの変革を目指すこと。GXは地球温暖化対策の1つとして、世界中から注目を集めています。また企業がGXに取り組むことは、大きなメリットがあります。GXとは何なのかわかりやすく解説し、GXに取り組むメリットや取組事例について紹介します。

GX(グリーントランスフォーメーション)とは

GXは「グリーントランスフォーメーション(Green Transformation)」の略です。簡単に言うと、クリーンエネルギーを活用することで地球環境を保全しながら、経済社会システム全体の変革を目指す取り組みのこと。現在、私たちが生活する際に必要とするエネルギーの多くは、化石燃料から得られています。

しかし、化石燃料は地球温暖化や気候変動などを引き起こす原因の1つ。美しい地球環境を守るためには、温室効果ガスの排出を減らし、太陽光や風力発電などのクリーンエネルギーに転換していくことが必要とされています。そのための取り組みや変革をGXと呼んでいます。

GXが注目されている背景

今世界中から注目を集めている、GX。GXがなぜ必要とされ、注目されているのか紐解いていきます。

世界が目指すカーボンニュートラルの実現

日本だけでなく、今世界中で地球温暖化対策として、カーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現を目指しています。カーボンニュートラル実現のためには、GXは必要不可欠です。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と森林などによる吸収量を均衡させること。現在約120以上の国が、カーボンニュートラルの目標を設定しています。

日本は経済産業省を中心にGXへの取り組みを進めており、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すと宣言しました。そしてGXに積極的に取り組む企業と政府や学術機関が連携して、GX実現に向け議論や新たな市場を創造する場であるGXリーグを推進しています。GXリーグは2023年度から本格稼働します。

地球温暖化問題の深刻化

大気汚染や海洋汚染などによる地球温暖化問題が深刻化してきているのも、GXに注目が集まる理由の1つです。地球温暖化によって海面上昇や気候変動が起こると、水害や火災、干ばつなどが起こり、経済に大きな影響をもたらすと考えられています。そのため今後も社会が発展するためには、地球の環境保全や改善が不可欠なのです。

ESG投資市場の拡大

ESG投資市場が拡大していることも、要因の1つと言えるでしょう。ESG投資とは、投資家が企業の財務情報以外に、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の3つの観点から企業を評価して、投資を行うことを指します。

ESG投資の運用額は年々増加しており、2020年にはESG投資の運用金額は約3,900兆円を超えました。そして、今後も市場は拡大することが予想されます。企業として株価を維持したり、資金調達のためにはESGは軽視できないため、多くの企業がGXに注目し始めています。

GXが企業にもたらすメリット

企業がGXに積極的に取り組むことは、企業イメージをアップさせたり、コスト削減につながったりとメリットをもたらします。詳しく説明します。

企業ブランディングにつながる

GXに積極的に取り組むと、環境問題に力を入れている企業であることを社内外にアピールできます。企業姿勢が高く評価されることで、ブランドイメージの向上が期待できるでしょう。企業イメージが上がれば、取引先が増えたり、資金調達が容易になったり、自社サービスのユーザーが増えたりといった効果も期待できます。

運営コストが削減できる

クリーンエネルギーを活用して温室効果ガスを削減するGXの取り組みによって、省エネになり、光熱費や燃料費が削減できるメリットもあります。コストが減ることで、利益率のアップにつながるでしょう。その他、企業が積極的にGXに取り組むことで知名度が上がり、人材確保のためのコストを削減できるかもしれません。GXに積極的な人材が集まり、低コストで企業の思想と合った優秀な人材を獲得できるようになります。

GXの実現に欠かせないDX

GXと似た言葉にDXがあります。DXとは、デジタルトランスフォーメーションのこと。デジタル技術を用いて、人々の生活をより良いものに変える取り組みを指します。GXの実現には、DX技術が不可欠であり、この2つは密接に関わっています。

例えばGXの取り組みの1つである紙資料のペーパーレス化には、資料をデジタル化するDX技術が必要です。その他、電気自動車の拡大にも自動車のデジタル化が必須。GXを進める上で、DXは欠かせない技術と言えます。

企業のGX先行事例

カーボンニュートラル実現のために、現在世界中でたくさんの企業がGXに取り組み始めています。最後に国内外のGXの先行事例を紹介します。

グローバルIT企業|100%再生可能エネルギーでの企業運営

2018年にカーボンニュートラルを達成した、グローバルIT企業の事例を紹介します。家電製品やソフトウェア開発、販売を行っている企業ですが、風力発電などのクリーンエネルギーで電力をまかなうことに成功しました。2019年以降販売された製品のほとんどが、100%リサイクルされた再生材料で作られています。今後も、100%再生可能エネルギーで企業運営を続けることを表明しています。

電気通信会社|全国に大容量の蓄電池を設置

電力消費量が国内トップクラスの電気通信会社の事例です。自然災害による大規模な停電被害が相次いだため、事業継続のために再生可能エネルギーへの投資を実施しました。そして、2030年までに電力消費量のうち半分程度、自社のクリーンエネルギーでまかなうことを発表しています。

災害への備えとして、全国7,300ヵ所の通信ビル内に大容量の蓄電池を設置したり、社用車の電気自動車化したりとさまざまな取り組みを実施。2040年には、グループ全体でのカーボンニュートラル達成を目標に掲げています。

自動車メーカー|製造過程でCO2排出を実質ゼロに

2035年までに世界の自社工場でCO2排出を実質ゼロにする目標を発表した、自動車メーカーもあります。自動車は製造する過程で大量の温室効果ガスが排出し、自動車のエネルギーはほとんどが化石燃料で二酸化炭素を排出する要因になっています。

この自動車メーカーは、これらの自動車が地球環境に与えるマイナス要因を限りなく0にして、社会にプラス要因をもたらすための取り組みを始めました。工場から排出されるCO2を、2013年から現在まで約35%以上削減。さらにCo2排出量を抑えたエコカーへの切り替えを率先して進めています。

GXとは地球環境保全と経済成長のために必要不可欠な取り組み

GXとは、地球環境を守りながら経済社会が発展するために必要不可欠な取り組みです。世界的にも注目されており、国内外の企業は積極的にGXに取り組んでいます。ブランディングに一役買ったり、コスト削減や人材確保に役立ったり、企業としてメリットが多いのも注目したいポイントです。既に始まっている企業のGX事例を参考に、自社で取り組めるGXについて考えてみませんか。

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