2023年1月24日 更新

クラウド活用の救世主CCoEとは。役割や設立・運用のポイント、成功事例を紹介

CCoEとは、クラウド化推進のために、人材や知見といったリソースを集約して立ち上げる組織横断型のチーム。企業のDX推進にはクラウドの活用が必要不可欠と言われている今、注目を集めています。本記事では、CCoEの原則や役割、設立のポイント、成功事例などを紹介します。

CCoEとは

まずはCCoEの概要から見ていきましょう。CCoEの意味や注目されている背景、設立・運用の原則などを解説します。

意味・定義

CCoEは、CloudとCenter of Excellenceの頭文字を取った言葉です。CoEとは人材や知見などのリソースを集約した組織横断的な組織のこと、CCoEはクラウドの活用を組織横断的に推進する組織のことを言います。

注目されている背景

CCoEが注目されている背景には、DX(デジタルトランスフォーメーション)が大きく影響しています。DXとは、デジタル技術を活用して業務フローを改善したり、企業の意識改革を進めたりなど、組織運営の再構築を行うことです。

社内にDXを浸透させようと取り組みに力を入れている企業は多く見られます。現在クラウドサービスは企業のデジタル化に欠かせないものであり、このクラウドをCCoEによって整備することで、社内のDX化がより進むと考えられます。

また、社内の情報システム部などの部署が、知らないうちに独自で導入したIT機器やシステムである「シャドーIT」を減らす目的でCCoEを導入することも。社内で十分統率を取らないままデジタル化を進めようとすると、シャドーITが生まれやすくなります。CCoEで組織横断的にクラウド活用を進めていくことにより、こうしたシャドーITの削減も期待できるでしょう。

CCoEの原則

CCoEは設立すればそれで良いというわけではありません。原則として、設立した後も社内の状況に合わせて変化・進化することを前提とした組織の起ち上げが必要です。組織文化を踏まえながら活用を進める、変化を常に受け入れ対応できる企業体制をつくるなど、企業のカラーを鑑みながら変化とともにクラウドサービスを推進していくことが重要と言えます。

CCoEの役割

社内横断的にクラウド活用を進めるCCoEは、さまざまな役割を担っています。ここでは、CCoEの主な役割を紹介します。

クラウド活用のガイドライン作成

社内でクラウドを活用する際のガイドラインを作成します。社内におけるクラウド利用をすべて標準化するためには、ベースとなるガイドラインが必要です。

情報の発信や共有

クラウドに関する成功事例や最新技術に関する情報などを、社内に発信・共有します。また、クラウド活用について社内で情報共有できるような仕組み(社内コミュニティなど)をつくることも、重要な役割です。

社内で利用するクラウドサービスの選定

社内で利用するクラウドサービスの選定も、CCoEが主体となって行います。外部サービスを利用するのか、社内で開発するのかなども含め検討し、予算管理も担当します。

クラウド利用の状況確認

クラウドが導入された後には、社内での運用状況などをチェックします。そして運用データを分析し、社内からの要望なども合わせ、今後の運用に向けフィードバックしていきます。

人材の育成

CCoEはクラウド活用について全面的に請け負うだけの組織ではありません。クラウドを活用できる人材を育成するため、社内で研修会を開催するなど、仕組みづくりも行います。

CCoEの設立はこんな企業におすすめ

パソコンを操作する男性

CCoEを設立することで、企業内のデジタル化が進んだり、事業が効率化されたりと、さまざまなメリットが考えられます。特に、次のような企業はCCoEの設立がおすすめです。

DX化を進めたい企業

DXに力を入れている企業は多いものの、なかなか結果につながらないケースがあることも事実です。そこで現状打破の鍵となり得るのがCCoE。CCoEを設立し、社内を横断する形でクラウドが整備され運用がなされれば、それに伴いDX化も進むでしょう。

最新情報・ノウハウを社内に取り入れたい企業

IT分野は日々進化し続けており、知識も技術もどんどん更新されています。このような進化についていくためには、常に新しい情報やノウハウをキャッチする必要があります。そしてこれは、CCoEを設立することで実現可能です。

シャドーITをなくし、セキュリティを高めたい企業

社内にシャドーITが存在している状態であれば、主にセキュリティ面で大きなリスクが生じます。これはセキュリティを管理する部門が把握していないITサービスから、セキュリティのほころびが発生する可能性があるためです。CCoEを設立し、組織横断的なクラウドサービスを導入すれば、シャドーITをなくす、軽減するといった対策ができ、セキュリティ面の安全性を高められるでしょう。

CCoE設立・運用のポイント

CCoEを成功につなげるために、いくつか意識しておきたい点があります。設立・運用の際は、次のようなポイントを押さえましょう。

小規模からスタートする

まずは小規模からでもCCoEをスタートさせることが重要です。はじめから大規模な体制を整えようとすると、人材確保などに苦慮し、なかなかスタートできないパターンも。CCoEの規模は設立後の運用状況などを見ながら、徐々に拡大していけば良いでしょう。CCoEの完成にこだわらず、まずは始めることが大切です。  

経営幹部や利害関係者にも参加してもらう

CCoEのメンバーには、経営幹部や利害関係者を加えることも忘れてはいけません。クラウドの活用を社内横断的に進めるためには、これまでのハードウェアやデータを自社で管理するオンプレミス環境を更新する必要があります。

そしてその更新は、CCoEだけでは成り立ちません。企業の経営幹部陣や利害が発生するような各セクションの関係者からの協力も不可欠です。

ツールを積極的に活用する

ITに関する社内の意識を高めることは、もちろん大切です。しかし、例えばマニュアルをつくって常にその通りに、ミスなく運用することは現実的に難しいでしょう。これは人によってITの理解度や意識にバラつきが生じるためです。そこで、社員がみな同じような運用ができるよう、ツールを導入し積極的に活用する必要もあります。  

CCoEの成功事例

最後に、CCoEの設立によって、大きな業務改善やサービスの向上につながった成功事例を紹介します。事例から、自社に効果的なCCoEを設立するヒントを得ましょう。

サービス開発部門にCCoEを設立した事例

事業を担当するサービス開発部門にCCoEを設立した事例。通常CCoEはIT部門に設立されるケースがほとんどです。しかしこの事例では、現場であるサービス開発部門にCCoEを設立した結果、部門内の内情や前提が把握しやすくなり、相談・検討の進捗が従来よりスムーズに変化しました。また、CCoEによって組織や文化の壁がなくなった分、課題を吸い上げやすい状態になりました。

社内にバーチャルなCCoE組織を設置した事例

セゾン情報システムズのCCoE活用事例です。社内にバーチャル組織「SISCO CCoE」を設置し、各部署のマイグレーション・障害対応・サービス利活用といったさまざまなナレッジが共有できる仕組みを整備。これにより、自社製品のクラウド構築に係る共通テンプレート整備や、クラウド利用の省力・コスト最適化などが可能になりました。

CCoEを設立・活用しクラウド活用やIT課題の解決を

CCoEは、社内でのクラウド活用に悩む企業にとって救世主となり得る存在です。設立することで、DX化の推進だけではなく、社内のIT環境に関するさまざまな課題・リスクの解決も期待できます。設立の際は、運用のポイントや成功事例などを踏まえ、自社に合った形を検討することが大切です。ぜひ、CCoEの設立や運用を具体的にイメージしてみてください。

※記載の情報は、2023年1月時点の内容です。

関連記事