2024年5月7日 更新

フルスタックエンジニアとは|需要が高まる背景と仕事内容、必要なスキルを解説

フルスタックエンジニアとは、分野を問わずマルチに仕事をこなすエンジニアのことです。昨今、企業の経費削減や業務効率化を目的として、フルスタックエンジニアの需要が高まっていると言われています。本記事では、フルスタックエンジニアの仕事内容や必要なスキル、将来性やキャリアパスについて紹介します。

フルスタックエンジニアの仕事内容とは

フルスタックエンジニアとは、エンジニアが携わるシステム開発や運用において複数のスキルを持つ人材のことです。マルチエンジニアとも呼ばれています。

一般的にエンジニアは、ネットワーク構築やシステム開発など、それぞれの分野で1つの業務を担当する専業制がほとんど。対してフルスタックエンジニアは、明確な定義はないものの、システム構築やWeb開発の設計、構築・開発、運用までの業務を1人で担当できる幅広いスキルを持っています。

フルスタックエンジニアの仕事内容は、フロントエンド・バックエンド開発、モバイルアプリ開発、サーバー構築、ネットワーク構築・運用など多岐に渡ります。

フルスタックエンジニアが必要とされている理由と背景

今、企業はフルスタックエンジニアに高い関心を持っていて、そのニーズも高まっています。フルスタックエンジニアが必要とされている理由と背景について解説します。

開発スピード向上のため

開発スピードは、企業にとって顧客へのアピールにつながる重要なポイントです。開発スピードの向上には、フルスタックエンジニアの雇用が効果的。これは、従来のような1つの業務に対して複数の担当者が作業を進める方法より、1人のエンジニアが設計から運用・保守まで担当する方が迅速に開発を行えるためです。さらに、連携や情報引き継ぎの作業を軽減でき、伝達ミスのリスクも減らせる点もメリットと言えるでしょう。

人件費削減のため

フルスタックエンジニアを雇用すれば、1人でワンストップの開発が可能になり、人件費削減が見込めます。従来のように分野ごとに複数のエンジニアを雇用する必要がないのは、企業にとって大きなメリットです。

市場や企業が求めるエンジニア像が変化しているため

企業側は、開発だけでなくサポート業務も対応可能なエンジニアを求めています。近年、システム開発分野ではスマートフォンアプリやクラウドサービスなどWeb系のシステム開発が主流になりつつあります。Web系システムのなかでも特にスマートフォンアプリは、開発・リリース後もアップデートによる機能追加やサービス向上が求められ、サポート業務が重視される分野です。

幅広い分野に知見のあるフルスタックエンジニアであれば、サポート業務にも対応できるため需要が高いのです。

フルスタックエンジニアに必要なスキル

フルスタックエンジニアは、プログラミングから運用保守まで幅広い分野の業務を担当します。マルチタスクを求められるフルスタックエンジニアだからこそ、求められるスキルは多岐に渡ります。フルスタックエンジニアに必要なスキルを見ていきましょう。

1.プログラミングスキル

開発の工程において、プログラミングが求められることは少なくありません。開発にはフロントエンド開発、バックエンド開発、アプリ開発など分野がありますが、どの分野でもプログラミングに対応できるスキルが求められます。

システムによって使用言語は異なりますが、JavaScript、Java、PHP、Ruby、Pythonなど代表的なプログラミング言語とアプリ開発で使用されるSwift、Kotlin、Objective-Cのような言語について、できるだけ多くの言語を扱えると良いでしょう。

2.OSやミドルウェアに関するスキル

コンピューターの基礎となるOS(オペレーティングシステム)と、OSとアプリケーションの中間に位置するミドルウェアについての知識・スキルも欠かせません。サーバーやデータベース構築において、必要となるスキルです。主なOSであるWindowsやAndroid、Linux、iOSなどに加え、Oracle・MySQL、Apacheなどのミドルウェアについても理解しておきましょう。

3.クラウドサービスに関するスキル

コストの削減や迅速な開発を目的に、クラウドサービスを用いたシステム開発の需要が高まっています。フルスタックエンジニアには、クラウドサービスに関するスキルが求められることも多いため、「SaaS」「PaaS」「IaaS」は押さえておきたいスキルです。なかでもAWSやAzureなどの「IaaS」は、特に需要が増えているため習得しておくと良いでしょう。

XaaSとは?サービスの種類と導入のメリット・デメリットを詳しく解説

XaaS(ザース)とは、インターネットを介し提供されるクラウドサービスの総称です。業務の円滑化やコストダウンが見込めるとして、近年では分野を超えた広がりを見せ、さまざまなサービスが提供されています。この記事では、XaaSの意味や代表的なサービスの種類、メリット・デメリットを詳しく解説していきます。

4.コミュニケーションスキル

フルスタックエンジニアは顧客との打ち合わせを行うことも多く、コミュニケーションスキルも必要です。顧客と円滑なコミュニケーションを図り、ニーズを聞き出し適切なサービスを提案できるようヒアリング能力は欠かせません。顧客への提案を行う場合もあるため、説得力のあるプレゼンテーション能力も求められます。

フルスタックエンジニアの将来性とキャリアパス

フルスタックエンジニアへの転職やキャリアアップを考えるなら、将来性やその先のキャリアについても理解しておきましょう。

複数分野に精通するフルスタックエンジニアの将来性は高い

複数の技術領域に精通しているフルスタックエンジニアは、企業にとって特定の分野の業務しか担当できないエンジニアより有用な人材であり、価値も高い存在です。さらに、生産性の向上や人件費削減を目指す企業のニーズにもマッチしています。フルスタックエンジニアの数はまだまだ少ないため、市場価値が高く将来性もあると言えます。

キャリアパス①スペシャリストを目指す

フルスタックエンジニアになった後は、エンジニアのスペシャリストになる人が多い傾向にあります。フルスタックエンジニアは、クラウドエンジニアやAIエンジニアなど、市場ニーズに柔軟に対応可能です。ただし、そのために最新の技術情報を学び市場の動向を把握する姿勢は必須。働き方は会社員を続ける以外に、独立してフリーランスになる道もあります。

キャリアパス②マネジメント職を目指す

フルスタックエンジニアのなかには、プロジェクトマネージャー(PM)やコンサルタントなどマネジメント職を目指す人もいます。マネジメント職には、エンジニアとしてのスキルはもちろん、エンジニアチームの生産性を向上させるために高いコミュニケーションスキルも求められます。

マネジメント職を目指すなら、3~5年ほどフルスタックエンジニアとしての実務経験を積んだのち、小規模なマネジメント実績を積んだり、資格取得を目指したりするのが一般的です。

28歳・エンジニアのキャリアパス。職種別で考えられる選択肢とは

28歳の多くのエンジニアは「そろそろキャリアアップを目指したい」と考え始めるもの。これまでの経験を活かしてスペシャリストを目指したり、異職種に挑戦したりしてみてはいかがでしょうか。本記事では、28歳・エンジニアの主なキャリアパス、職種別のキャリアパスを紹介します。

将来性の高いフルスタックエンジニアを目指そう

マルチな分野に精通しフレキシブルに業務を行うフルスタックエンジニアは、今ニーズの高まっている職種です。さまざまなスキルを求められるため、フルスタックエンジニアになることは容易ではありません。しかし、その分市場価値の高い人材になれると言えるでしょう。今後益々需要が増えるフルスタックエンジニアへのキャリアアップを目指してみませんか。

※記載の情報は、2023年9月時点の内容です。

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