2023年2月14日 更新

カスタマーサクセスとは|注目されている理由・仕事内容・成功の鍵を解説

カスタマーサクセスとは、「顧客の成功体験」のサポートを目的として顧客に能動的に関わっていくことです。サブスクリプションサービスの増加により、カスタマーサクセスは大きな注目を集めています。本記事では、そんなカスタマーサクセスについてわかりやすく解説。注目されている理由・仕事内容・成功の鍵などを紹介します。

カスタマーサクセスとは

まずはカスタマーサクセスの定義や役割など、基本的な情報を確認しておきましょう。混同されやすいカスタマーサポートとの違いも解説します。

定義

カスタマーサクセスとは「顧客の成功」を意味する言葉です。商品・サービスを購入している顧客に対し、成功体験が得られるようサポートすることを指します。

主な役割

カスタマーサクセスにおいて以下のような役割を達成できるよう、顧客に対してさまざまなサポートを行います。


  • 顧客満足度を上げ解約を防ぐ。

  • 既存顧客の客単価向上を図る。

  • 顧客のニーズに沿った商品改善を行う。


カスタマーサポートとの違い

カスタマーサクセスと混同されやすいのがカスタマーサポート。顧客をサポートするという点においてはどちらも同じですが、カスタマーサクセスが能動的に顧客へアプローチしていくのに対し、カスタマーサポートは顧客からの求めがあった場合に対応する受動的なスタイルです。能動的か受動的かが大きな違いと言えます。

カスタマーサクセスが注目されている背景・理由

カスタマーサクセスが注目を集めている背景のひとつが、サブスクリプション型ビジネスの増加。現在BtoCだけではなく、BtoBでもサブスクリプション型ビジネスが広がっています。

サブスクリプション型ビジネスは、顧客が成功体験を得られているかどうかが運営に大きく影響します。従来の買い切り型ビジネスと異なり、サブスクリプションは契約がスタートであり、できる限り長期的に利用してもらうことが目標です。そこで顧客の成功体験を支援するカスタマーサクセスが注目されるようになりました。

カスタマーサクセスの仕事内容

ここからは、カスタマーサクセスの具体的な仕事内容を紹介します。カスタマーサクセスとしての役割を達成するために、次のような業務が行われています。

顧客へのヒアリング・アドバイス・解決策考案

商品・サービスを購入した顧客からヒアリングを行い、要望や困りごとなどを聞き取ります。そこで得た情報をもとに、より快適に利用してもらえるよう解決方法を提示します。また、利用方法がわからず困っている場合は使い方を解説するなど、顧客が商品・サービスを最大限に活用できるようサポートすることも仕事の一部です。

顧客に最適な商品・サービスの提案

自社の売上向上のため、自社商品・サービスの中で顧客のニーズにより適したものを提案します。

具体的には、アップセルやクロスセルなどを用いて、顧客によりマッチしやすい商品・サービスをピックアップします。アップセルとは、購入を検討している商品・サービスの上位モデルを提案する手法。クロスセルは、購入した商品と併せて別の商品を提案する手法です。

顧客向けコミュニティの運営管理

カスタマーサクセスは顧客向けコミュニティの作成・管理運営も行います。例えば、ある顧客が抱く疑問に対して別の顧客が回答できる場、商品・サービスの活用事例を共有できる場など。このように環境を整えることは顧客の満足度アップにつながる他、業務負担の軽減にもつながります。  

顧客ニーズの社内へのフィードバック

顧客から得たニーズを社内にフィードバックし、反映を促すこともカスタマーサクセスの業務です。顧客とのやり取りには、商品・サービスの改善のヒントとなり得る情報が詰まっています。それらを逃さぬよう拾い、開発チームに伝えることは重要な仕事と言えるでしょう。

カスタマーサクセスの成功の鍵

カスタマーサクセスにおいて、3つの要素が成功の鍵となります。これらの要素を意識して業務を進めることで「顧客の成功体験の実現」につながるでしょう。

1. 顧客のニーズ

顧客のニーズは、自社商品・サービスを開発するために大切な要素。自社の顧客や市場全体のニーズは常に変化していくので、成功するためにはその変化に対応していく必要があります。

しかし、顧客のニーズすべてに応えることが正しいとは言い切れません。「改善した場合、顧客からの利用がどの程度見込まれるか」など、改善におけるコストパフォーマンスを考えることも重要です。

2. 顧客データ

顧客の基本情報や購入履歴などを確認できるデータから、自社に向けられているニーズや抱えている課題を明確にできます。データを分析すれば、適切な商品やサービスの改善方法が見えてくるでしょう。

また、カスタマーサクセスの活動の方向性、より良いアプローチ方法もわかってきます。さらに、顧客データからセールスやマーケティングの最善方法を見出すことも成功の鍵となります。

3. 顧客のLTV(ライフタイムバリュー)

「顧客生涯価値」と呼ばれるLTV(ライフタイムバリュー)もカスタマーサクセスの実現に欠かせません。LTVは、契約当初から終了時までの期間で1人の顧客が企業に対し、どれだけの利益(価値)をもたらすかを指すものです。既存顧客のLTVを引き上げれば、効率的な収益アップが見込めるでしょう。

カスタマーサクセスを導入している事例

カスタマーサクセスを導入した場合のイメージを掴むために、事例を参考にするのも有効です。実際にカスタマーサクセスを導入した企業の事例を紹介します。

顧客の段階ごとに細やかなカスタマーサクセスを展開した事例

サブスクリプション型のITサービスを提供する企業の事例です。導入時・導入後ともに、顧客へきめ細やかなサポートができるよう、細分化したチーム体制を確立。また、一定以上のサポートは有料にして企業の負担を軽減しつつ、各顧客に寄り添った丁寧なサポートを行える環境を整えました。このカスタマーサクセスが活き、高い継続率を獲得しています。

データなどを活用して顧客に必要なプログラムの提供を行った事例

コミュニケーションツールを展開する企業の事例です。顧客の利用状況データをもとに、その顧客に必要なプログラムを導き出し、推奨しています。操作方法のトレーニングは動画の配信だけではなくユーザー参加型で行うなど、インタラクティブなサポートも実施。世界中に数多くの利用者がおり、日本でも成長を続けています。

カスタマーサクセスエンジニアとは

カスタマーサクセスの役割を担うエンジニアは、カスタマーサクセスエンジニアと呼ばれます。ITの専門性を活かしながらカスタマーサクセスに関わりたい人にマッチするでしょう。最後に、カスタマーサクセスエンジニアの仕事内容や必要なスキルを紹介します。

仕事内容

カスタマーサクセスエンジニアの仕事は、顧客から商品・サービスに関する技術的な問い合わせがあった場合にサポートし、成功体験へと導くことです。技術的な知識と顧客の利用状況を踏まえて顧客にアドバイスや提案を行う他、技術的な改善や新規開発などにも取り組みます。  

必要なスキル

カスタマーサクセスエンジニアとして働く上で、さまざまな顧客からの要望・疑問などに適切に対応するためのIT知識・技術が欠かせません。また顧客と接する機会が多いため、コミュニケーションスキルも必要です。

カスタマーサクセスは現代のビジネスに対応したアプローチ方法

カスタマーサクセスは現代のビジネスモデルに対応しながら、商品やサービスの成長、売上アップを目指すために有効なアプローチ方法です。成功すれば顧客満足度が高まり、信頼をより強固にできるでしょう。カスタマーサクセスについての理解を深め、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

※記載の情報は、2023年2月時点の内容です。

関連記事