2024年7月16日 更新

プリセールスとはどんな仕事?仕事内容や必要なスキル、転職に活かせる資格を紹介

プリセールスとは、IT系の職種の1つ。営業とエンジニア、どちらの業務も行うIT業界ならではの仕事です。ITスキルを現場とは違う形で活用できる、多様なキャリアパスを描けるといった魅力があります。本記事ではプリセールスの仕事についてくわしく解説。仕事内容ややりがい、必要なスキル、キャリアパスや転職に役立つ資格について紹介します。

プリセールスとは

プリセールスとは、IT知識をもった営業職のこと。まずは、主な仕事内容ややりがい、向いている人、セールスエンジニアとの違いなど、プリセールスについてさまざまな観点から解説します。

仕事内容

プリセールスの主な仕事は、営業担当者とともに営業の場に加わり、顧客にシステム的な説明・提案などを行うことです。ITの専門知識を活かしながら、製品・サービスの詳細を説明したり、顧客からITに関する詳細なヒアリングを行ったりします。

営業活動には加わりますが、自分から顧客の開拓を行うことや、商談を手配することは基本的にありません。営業担当者がセッティングした場に、ITの専門家として加わる形が一般的です。

やりがい

顧客の要望を直接受け止めやり取りすること、実現可能かつ顧客の満足度を高められる提案を検討することなどが、プリセールスの大きなやりがいとなるでしょう。

また、顧客とシステムについて具体的な内容を取り決めていく中心となる役割であるため、開発に大きな影響を与える職種でもあります。自分の提案が受注に直接つながると、自分の仕事が利益を生み出していると実感でき、年収が高い傾向にあるのもやりがいにつながります。

向いている人

さまざまな人と連携しながら課題をクリアし、目標を達成することに喜びや楽しさを見出せる人は、プリセールスの適性があると言えるでしょう。人と接すること、特に人に説明することが好き・得意な人もプリセールスに向いています。

また、ITに関する専門的な知識・スキルやエンジニアとしての経験を、より幅広い場で活かしながら働きたいと考えている人もプリセールス向きです。

セールスエンジニアとの違い

プリセールスに類似する職種として知られるのが、「セールスエンジニア」。セールスエンジニアもITの専門知識を駆使して営業活動を行う仕事ですが、多くの場合、プリセールスとは担当する業務の幅が異なります。

一般的に、プリセールスの仕事は製品・サービスの契約が結ばれるまで、セールスエンジニアは、契約後のフォロー(導入支援、トラブル対応など)も業務に含まれることが多いですが、企業や内容によって異なります。担当案件の進行にともなって業務内容が変化するセールスエンジニアに比べて、プリセールスは顧客への提案だけに集中できる職種です。

プリセールスに必要な経験・スキル

高度な仕事を求められるプリセールスとして働くのであれば、さまざまな経験・スキルを身に付けておきたいものです。具体的に、次のような経験・スキルが必要と言われています。

プリセールスに必要な経験

プリセールスは営業職ではありますが、エンジニアとしての知見を活用する場面が多いため、エンジニアの経験は必須です。開発の構築作業を行った経験はもちろん、PM(プロジェクトマネージャー)、PL(プロジェクトリーダー)、SE(システムエンジニア)など、開発の上流工程に携わった経験なども役立ちます。

また、営業の経験もプリセールスに大いに活用できます。プリセールスは通常の営業のサポート的な役割を担う職種ですが、経験があれば営業の場でよりスムーズに動けるでしょう。その他、コンサルタントの経験もプリセールスに活かせます。顧客の状況をヒアリングし、課題解決のために有効な提案を行うコンサルタントの仕事は、プリセールスとリンクする部分が多々あります。

プリセールスに必要なスキル

プリセールスはITの技術的な専門家として営業に加わるため、高度なITスキルが不可欠です。技術的なスキルを持ちつつ、コミュニケーションスキルやプレゼンテーションスキルも駆使し、顧客が魅力的だと感じるような提案を行います。

顧客にとって魅力的な提案をするためには、顧客のニーズを的確にとらえる必要があります。「顧客が何を求めているのか」をしっかりと把握するヒアリング力もプリセールスに欠かせないでしょう。その他、提案や技術的な説明をわかりやすく相手に伝えるスキル、開発が納期までに間に合うようさまざまな調整を行うマネジメントスキルなども必要です。プリセールスに求められるスキルは非常に幅広いと言えます。

プリセールスになった後のキャリアパス

プリセールスはITに関する高度な知識・スキルが必要なため、業界未経験のまま目指すのは難しいでしょう。エンジニアやIT業界の営業職などを経験した上でプリセールスになる人がほとんど。プリセールスへの転職を希望するのであれば、プリセールスになったその先のキャリアパスまで見据えておくことが大切です。

プリセールスになった後、長期間プリセールスとして働き、そこで培った経験を活かしてさらに上位職を目指す人もいます。例えば、技術系の上位職としては、プロジェクトマネージャー(PM)やプロジェクトリーダー(PL)を目指すキャリアパスが一般的です。

SEを経験していない人は、現場での活躍を目指しSEになるパターンも。その他、より上の職種であるITコンサルタントを目指すキャリアパスもあります。また、営業系の上位職を狙いたい場合は、営業職の統括的存在であるセールスマネージャーを目指す道も考えられます。

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プリセールスへ転職する際のアピールポイント

プリセールスへ転職する際にアピールしたいポイントを紹介します。自分の適性や活かせる部分を見極め、積極的にアピールしていきましょう。

自分が得意なIT分野を武器にする

転職を成功させるために大切なのは、自分が役に立つ人材だと採用担当にわかってもらうこと。プリセールスに不可欠であるIT分野に関する知識・スキルについては特に詳しく提示する必要があります。

ITスキルと一言で言っても、幅広い範囲があります。開発対象となる製品・サービスの種類に加え、フロントエンド・バックエンド・ネットワークなどの領域もさまざま。自分が最も得意とする分野をできる限り明確にし、武器としてアピールしましょう。

資格を取得している場合は、自分のスキルの裏付けとなるので、こちらも活用することがポイントです。プロジェクトマネージャーやデータベーススペシャリストなど、情報処理技術者の資格やベンダー系の資格などが役立ちます。

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プリセールスに活かせるスキルを示す

ITスキル以外にも、プリセールスに活かせそうなスキルは積極的にアピールしましょう。プリセールスに必要な経験・スキルの項目で挙げた通り、プリセールスとして働く上ではさまざまなスキルが必要です。提案力、プレゼンテーションスキル、ヒアリング力など、役立つスキルは広範囲にわたります。今までの経験などから、自分のスキルを強調できるようなエピソードを転職活動で発信しましょう。

プリセールスへの転職に活かせる資格

プリセールスになるための必須の資格はありませんが、関連する資格を取得すると仕事に大いに活かせます。プリセールスの仕事に役立つ資格を紹介します。

ITパスポート試験

ITパスポートは、IPA(情報処理推進機構)が主催する国家資格。情報処理技術者試験の中で最もチャレンジしやすく、基礎的なIT知識を証明できる試験です。対象は全ての社会人・学生で、新たにIT業界を目指す人もチャレンジできます。

全国の試験会場で、原則毎日実施されています。プリセールスにとっては、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験へのステップとなるでしょう。

マイクロソフト認定資格(MCP)

マイクロソフト認定資格(MCP)は、マイクロソフト製品に対する知識とスキルをレベル別に認定する民間資格。プリセールスの仕事では、自社製品とマイクロソフト製品との連携が必要になることもあります。多くの企業で使われるマイクロソフト製品に関するスキルを証明できため、持っておくと転職に有利に働くでしょう。

マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)

マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)は、Excel、Word、PowerPointなどのMicrosoft社のOffice製品のスキルを証明する民間資格です。試験は株式会社オデッセイコミュニケーションズが運営しています。プリセールスの業務でもOffice製品を使う機会が多くあります。自社製品とOffice製品を連携させる提案をする際にも、身に付いた知識が活かされます。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が主催する国家資格です。ITSS(ITスキル標準)レベル1〜4のうち、レベル2に該当する難易度。試験ではITエンジニアに必要な基本的な知識や技能が問われます。取得することで、プリセールスの知識の習得やスキル証明に役立ちます。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が主催する国家資格。 ITSS(ITスキル標準)レベル1〜4のうち、レベル3に該当する難易度です。応用情報技術者試験の資格を持っていると、ITストラテジスト試験やプロジェクトマネージャ試験など高度情報処理技術者試験を受ける際に、午前Ⅰ試験が免除になるメリットがあります。エンジニアとしてのスキル証明に役立ち、プリセールスのキャリア向上にも貢献する資格です。

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PMP(Project Management Professional)

PMP®試験は、アメリカのプロジェクトマネジメント協会が主催する国際資格。プロジェクトの立ち上げを始め、計画・実行・監視コントロール・終結などが試験で問われます。海外ベンダーの製品やサービスを扱う機会がある場合は、取得していると役に立つでしょう。PMP®資格を取得することで、プロジェクトマネジメントの専門家であることを証明できます。

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TOEIC

TOEICはビジネスや日常生活での英語能力を測るテスト。プリセールスが扱う製品やサービスには海外ベンダー製品が多いため、英語力が必要な場合もあります。日本語に対応している製品もありますが、製品やサービスに関する説明が英語の場合も少なくありません。

TOEICのスコアは、海外製品の最新情報やトラブルシューティングに必要な英語読解力を示せます。プリセールスが英語力を持つことで、業務をスムーズに進め、正確な情報を把握できるため、TOEICの取得は転職にも有利になるでしょう。

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プリセールスをキャリアパスの1つとして検討してみよう

プリセールスは、エンジニアのIT知識・技術的な専門知識があるからこそ活躍できる営業職です。求められるものが多い仕事ではありますが、その分得られるやりがいも大きいのが魅力です。開発の要として多角的に案件に携わることで、自身のさらなるレベルアップにつながるでしょう。ぜひプリセールスについての理解を深め、自分のキャリアパスの1つとして考えてみてください。

※記載の情報は、2024年8月時点の内容です。

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