設立100年を超える老舗銀行として、地方銀行トップクラスの預貸金を誇る株式会社 横浜銀行では、グループ全体でのデータ利活用を推進しているが、外部パートナーによる開発依存によって現場ニーズへの柔軟な対応が難しい状況が続いていた。そんな環境を打開するべく、AWSやGoogle Cloudなどマルチクラウド環境をシームレスにつなぐデータ連携基盤として、クラウド型データ連携プラットフォーム(iPaaS)「HULFT Square」が採用されている。
お客様の課題
- データ抽出・連携の開発業務が外部パートナー依存で、現場からの多様なデータ利活用ニーズに対して投資対効果の面から柔軟かつ迅速に対応できない状況が続いていた。
導入効果
開発内製化により、データ提供までのリードタイムを90日からわずか1日へと劇的に短縮
Excelでのデータ集計作業を自動化、82.5%の業務時間削減を達成
ノーコード開発による属人化解消、カスタマーサクセスの迅速な対応で安定稼働を実現
現場へのタイムリーな情報提供が難しい、外部パートナー依存が大きな課題に
1920年に横浜興信銀行として設立、神奈川や東京を中心とした店舗ネットワークを通じて、法人約25万社、個人約500万人を超える顧客が抱える課題解決に取り組んでいる、地方銀行トップクラスの預貸金を誇る株式会社 横浜銀行。本支店や出張所・無人店舗合わせて国内に590以上、上海やシンガポールなど海外にも拠点を展開するなど、国内外のネットワークを通じて顧客の海外進出を支援する体制も整備。現在は2027年度までの中期経営計画に掲げる「ホームマーケットでの確固たる成長」に向けたさまざまな施策に取り組んでおり、その重点戦略の1つに挙げられるのが生産性向上だ。
この生産性向上に資する施策の1つがデータベースの有効活用で、本部における業務量の削減によって顧客と向き合う時間を創出するべく、Excelバケツリレーの廃止によってデータ利活用を促進するための環境整備を進めている。データドリブン経営に資する、誰もがデータを利活用できる組織を作り上げるために、 “いつでも、どこでも、だれでも必要なデータが利活用できるシステム”を掲げ、行内業務の高度化・効率化を推進しているITソリューション部 データマネジメントグループでは、データウェアハウスを構築してデータ集約基盤としての統合DBを整備していたものの、現場が求めるデータをタイムリーに提供できない状況が続いていた。
「統合DBにデータが集約しきれず、Excelでのデータ受け渡しが多い状況にありました。また、データ利活用の要望が各部署から寄せられても、開発を委託している外部パートナーにテーブルを追加してもらい、統合DBにデータを集めてもらうなど個別に開発をお願いしていて、コストや納期の面から断念せざるを得ないケースもあったのです」と同グループの芋川 広武氏は振り返る。現場にデータ利活用のニーズがあっても、費用対効果の観点で開発に取り掛かれず、データ利活用の停滞が機会損失を生んでいる状況にあったのだ。
加速するクラウドシフトに合致したiPaaS、ノーコードがもたらす開発効率の向上を評価
そんな状況を打開するためには、インフラの整備とデータ利活用の推進を両輪で進め、開発を内製化することが不可欠で、変化の激しい金融業界においてアジリティを高めることが最優先の課題となっていた。そこで注目したのが、統合DBと各サブシステムとのデータ連携を容易に実現可能なiPaaS「HULFT Square」だった。
「当行ではクラウドシフトが進んでおり、稼働環境に応じて適正なスケールが選択できるという観点からクラウドファーストで検討しています。サーバーの構築や保守が不要なiPaaSであれば、迅速に使い始めることができます」と芋川氏。実は外部パートナーが利用していたオンプレミス向けのデータ連携プラットフォームである「DataSpider Servista」が、銀行でも活用の余地があると考え、同様の使い勝手やUIを持つ「HULFT Square」の採用における決め手の1つとなったのだ。
また、同行が展開する新CRMや「はまぎん365」などの各種サブシステムがAWS (Amazon Web Services)やGoogle Cloudなどマルチクラウド環境で稼働していることから、ノーコードで連携可能でクラウドサービスの専用コネクターにより柔軟に接続できることも「HULFT Square」を評価したポイントだという。
結果として、複数のサブシステムとデータを集約する統合DBを柔軟に連携するためのプラットフォームとして、「HULFT Square」が採用されることになったのだ。
開発工数が90日からわずか1日に短縮、開発業務の効率化でデータ利活用の幅を広げる
現在は、営業店報告プラットフォームと連携する新CRMをはじめ、銀行との口座開設、残高・入出金明細の照会、振込・振替などが可能なスマートフォンアプリ「はまぎん365」、クラウドストレージの「Box」といった各サブシステムとデータウェアハウスとなる統合DBへデータを集約するパイプラインとして「HULFT Square」が利用されており、目的に応じて月次や日次のタイミングでデータ取得するフローを構築。統合DBへのアクセスが許可された本部の各部署がデータ分析を行っており、例えば監査部門における審査業務のモニタリング、リスク部門では各種計数情報の算出などを行うなど、データを各部署での業務に役立てている。
「HULFT Square」によってデータ連携の内製化を実施したことで、外部に委託していた費用がゼロになり、以前は見積から行内手続き、開発工程含めた実装まで90日ほどかかっていた開発期間がわずか1日に短縮できた実例も出てくるなど、アジリティの獲得によって開発工程の大幅な削減を実現している。また、「HULFT Square」を使ってExcelテーブルの連携を進めたことで、集計業務で実施していたExcelバケツリレーから解放され、作業時間を82.5%削減することに成功。業務時間の短縮だけでなく、属人的な手作業を排除することもできたという。「これまで以上に現場から相談を受けることができるようになったことが何よりも大きい」と芋川氏は高く評価する。
新たに内製化を進めていく過程では、外部パートナーの「DataSpider Servista」の活用方法も参考にすることで、スムーズな「HULFT Square」での実装を実現している。「シンプルな処理が中心だったこともあり、チュートリアルを見ながら私のほうで実装できました。ドキュメントも踏まえて確認し、分からない部分はカスタマーサクセスの丁寧かつ迅速なサポートを受けました。何かあっても即日回答いただけるなど、内製開発を進めるうえでとても助かりました」と評価する芋川氏。
データ連携先の拡張によってさらなるデータ利活用を推進、生成AIとの連携も模索
今後については、現在は「HULFT Square」にて4つのシステムを統合DBに連携しているが、すでに連携先の拡張に関する要望が営業部門や監査部門から出ていることから、いずれは40を超えるシステムとの連携にも「HULFT Square」を活用していきたいという。「『Salesforce』や『SharePoint』といったクラウドサービスまで、データ連携先は今後も広がってくるはずです。統合DBにデータを集約する際には、『HULFT Square』をうまく活用していきたい」と芋川氏は期待を寄せている。
ITソリューション部 データマネジメントグループ
芋川 広武 氏
また、生成AIと「HULFT Square」を組み合わせるなど、自然言語の前処理の効率的に行うといったことにも活用の幅を広げていきたいと意欲的だ。「現状は我々のグループで受けきれるレベルに留めているため、積極的に啓蒙活動を行っているわけではありませんが、テーブル追加するだけで業務が大幅に効率化できるという発想になってもらえるよう、データ利活用の有用性をこれまで以上に周知させていきたい」と芋川氏。
同行にとって、内製化のパートナーとして重宝している「HULFT Square」。データ利活用戦略において、これからも重要な基盤になってくることは間違いないと芋川氏は締めくくった。
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株式会社横浜銀行
- 本社所在地:神奈川県横浜市西区みなとみらい3丁目1番1号
- 設立:1920年12月
- 資本金:2,156億28百万円
- 従業員数:4,051人
- 事業内容:普通銀行業務(預金・貸出・為替・投資型商品の販売業務、金融商品仲介、相続関連業務、投資銀行業務 など多様化するニーズに対する幅広い金融商品・サービスの提供)
- この事例の記載内容は取材当時のものとなります。本事例の記載内容は予告なく変更することがあります。


