建築加工ガラス業界のトップランナーとして業界をけん引しているAGC グラスプロダクツ株式会社では、基幹システム内の情報を日々の営業活動に役立てているが、データが散在していたことで迅速なデータ活用が困難な状況が続いていた。そこで、データドリブンな営業活動に向けた環境づくりの一環として、社内外の必要なデータを収集加工するためのデータ連携の基盤にクラウド型データ連携プラットフォーム(iPaaS)「HULFT Square」が採用されている。
お客様の課題
- エリア営業のあるべき姿を議論するなかで、エリアごとに異なる報告形式の統一と手作業によるレポート作成を効率化し、データドリブンな営業活動に向けた環境整備が必要だった
導入効果
報告レポート作成の自動化で
月270時間の効率化を実現
営業活動履歴や数字に基づく状況判断が可能になり、データドリブンな
マネジメントを実現
デジタルでの成功体験でDX文化が醸成され、ボトムアップによる
施策づくりの土壌が形成
エリア営業に求められるデータドリブンな環境づくりに向けたプロジェクトがスタート
建築用の板ガラスにおいて世界でトップレベルのシェアを誇るAGC グループのなかで、日本, アジア地域での中心的な役割を担っているAGC グラスプロダクツ株式会社。ビルや住宅、マンションなどさまざまな建物に使われる、省エネに寄与するLow-E 複層ガラスや防災安全性・防犯性に資する合わせガラスなど高付加価値な建築ガラスを製造開発しており、住環境や生活のニーズに適したモノづくりを進めている。現在は、グループ中期経営計画「AGC plus-2026」を推進しており、「独自の素材・ソリューションの提供を通じてサステナブルな社会の実現に貢献するとともに継続的に成長・進化するエクセレントカンパニーでありたい」を2030年のありたい姿として掲げている。
人口減や顧客ニーズの多様化などビジネス環境の変化が激しいなか、顧客への提案活動を続けるエリア営業の部門では、従来のような経験やノウハウに頼った営業スタイルから、データドリブンなマネジメントへの展開が急務となっていた。「デジタルネイティブな若手も増えるなか、これまで以上にデータに基づいた営業活動への展開が求められていました」と営業本部 第1 営業部 営業1 課 課長 大利 康裕氏は当時を振り返る。ただ、基幹システムを含めた各種データは活用していたものの、情報が社内に点在していたことで定期的な営業会議で共有する資料づくりのためのデータ収集や、Excel などによる報告レポート作成に多くの工数が割かれていた。そこで、データ利活用に向けて、情報収集や資料づくりなどの業務を効率化し、提案活動を含めた付加価値の高い業務に時間を使うことのできる環境づくりが求められたのだ。
また、顧客との商談履歴など営業活動の関連情報が一元的に管理できていない環境のなかで、今後のエリア営業のあり方についての議論が進むことに。「それぞれの立場のメンバーが集まってワイガヤな議論を進めるなかで、今後のエリア営業のあるべき姿を議論したところ、データをうまく扱えておらず、データドリブンな環境の必要性が話題となりました」と語るのは、コーポレート側が進めるDX と連携しながら現場に適したカンパニー内のDX を推進しているAGC 株式会社 建設ガラス アジアカンパニー 事業企画室 企画・戦略グループ DX 戦略チーム マネージャー 福留 弘士氏だ。特に、全国それぞれのエリア営業ごとに作成されていた報告レポートが標準化されていなかったことから、エリアの特色は生かしながらもデータ分析に必要な情報の標準化を進めることになったという。
環境変化に追従できる柔軟性とセキュアな接続にも対応できる「HULFT Square」
全国5つに分かれたエリア営業の主要なメンバーを中心にプロジェクトが発足し、標準的な業務プロセスを議論したうえで、そのための業務基盤として必要な環境づくりに着手することに。集計した数字を表示して予算との差を表現するようなものであれば、BI ツールを駆使することも想定されたが、設定された行動目標を日々の活動にて報告するといったテキスト情報も含めるなど、トレンドの変化にも対応しやすいような柔軟性の高い環境づくりが求められた。そこで、ノーコード開発が可能なクラウドサービス「kintone」をベースに、基幹システムなどと柔軟にデータ連携できる環境が必要になったという。
そこで注目したのが、データ連携プラットフォームの「HULFT Square」だった。「日常的に使う箱を「kintone」で作ったとしても、日次で更新される情報を営業部隊が手動で更新していては運用が回りません。内部の仕組みから自動的に情報収集、加工できるETL 機能が必須だと考えたなかで、「kintone」と同様にクラウド利用が可能なiPaaS である「HULFT Square」が最良だと考えたのです」と福留氏。
ただし、セキュリティに配慮した環境づくりを進めている同社だけに、基幹システムが稼働するAWS 環境にセキュアなアクセスが可能な「AWS PrivateLink」を利用できることが前提であった。「HULFT Square」であれば、「AWS PrivateLink」による接続が容易で、kintone のコネクターを有するなど、同社にとって最適なソリューションだと判断。「外部連携でのAPI 制限がある「kintone」での処理をうまくオフロードできるだけでなく、大容量な基幹システムのデータが処理できることも大きなポイントでした」と福留氏。以前から社内でファイル連携ミドルウェア「HULFT」が利用されていたことによる信頼感もシステム部門から評価されたポイントだったという。
営業本部 第1営業部 営業1課 課長
大利 康裕 氏
日次集計によって翌朝には営業部隊に必要な情報が提供できるレスポンスの面も考慮した結果、新たなデータ連携基盤としてクラウド型データ連携プラットフォームとなる「HULFT Square」が選択されることになったのだ。
月270時間の効率化を実現、DX文化の醸成に大きく貢献
新たに整備した情報基盤は、全国にいる70 名超のエリア営業担当者が活用しており、日々の業務はもちろん、週次や月次の営業会議をはじめとしてエリア全体の報告会などの場で報告レポートを活用、このレポートを作成するための周辺システムとのデータ連携および情報加工集計処理を「HULFT Square」が担っている。報告レポートについては、品目や製品別の売上や利益といった営業管理に必要な数字とともに、国土交通省が発表する建設住宅着工統計などの外部情報、そして日々の営業活動記録などの情報をレポート化している状況だ。
なお、今回は外部に開発を委託しているが、ローコードによる開発が可能な「HULFT Square」だけに、内製化も含めた開発も将来的には考えられるという。
具体的には、「Microsoft SQL Server」に展開している基幹システム内の情報を「HULFT Square」にて取得し、日次の集計情報として加工したうえで「kintone」に展開。また、「kintone」に入力された営業の活動履歴や取り込まれた外部情報などを集計し、報告レポートアプリに戻す処理も「HULFT Square」が担っている。「基幹システムの情報だけでも毎日数万行に及んでおり、大量の情報を「kintone」で処理するのは難しい。基本的な処理は「HULFT Square」が実施し、情報の登録と表示を「kintone」にて行っています」と福留氏は説明する。なお、外部情報は現状CSV にて取り込むインターフェースを「kintone」側に持たせて手動で取り込み、その情報を「HULFT Square」にて集計、レポート化しているが、将来的には外部から直接「HULFT Square」で収集できるような仕組みにしていきたいという。
データ活用が可能な新たな業務基盤を整備したことで、月に約270 時間の効率化を実現しているという。また、現場で報告レポートの作成に費やしていた時間を顧客への提案含めた付加価値の高い業務に振り分け可能になったことも大きいと評価する。さらに、今回のデジタル化によって、DX文化が現場に醸成された点も見逃せない。「感度の高い若手メンバーが、今やっていることを当たり前とは思わずに、デジタル技術を使ってどうしたら楽になるかといった考え方を持てるようになりました。今回はトップダウンの施策ですが、DXを取り入れていくという発想がボトムアップで広がってくるという期待が持てるような環境が整備できました」と大利氏は評価する。
建設ガラス アジアカンパニー 事業企画室
企画・戦略グループ DX戦略チーム マネージャー
福留 弘士 氏
「HULFT Square」については、現状はシンプルな運用のために機能をフル活用している状況ではないものの、機能面や支援体制について十分満足しているという。「社内のセキュアな環境での利活用に対応できた機能面はもちろん、支援体制についても評価しています。社内にはDX 専門の組織だけでなくIT 部門も別組織としてあるため、異なる部署間でのコミュニケーションに関するリスクを感じていましたが、情報システム部門の会議体と直接やり取りいただけるなど、手厚く支援いただけたことも非常にありがたかった」と福留氏はセゾンテクノロジーの支援体制について評価する。
エリア営業の課題解決への広がりと全社的な共通基盤としての可能性も
今回の取り組みで現場にDX推進の土壌が醸成されたことにより現場の課題解決につながるデータ活用のプロジェクトが複数進みつつあり、データ収集や加工の基盤として「HULFT Square」のさらなる展開が期待されている。「昨今では生成AIとの連携も含めて新たな技術を取り入れることも増えてきています」と大利氏。
具体的には、現状は営業担当が個別の「Excel」で管理している取引先の顧客情報を一元管理するようなCRMのようなアプローチをはじめ、データ処理を円滑に行うために「HULFT Square」を活用する場面は広がっていくはずだと期待を寄せている。
また、「AWS PrivateLink」を利用して基幹システムとセキュアにデータを連携できる事例は全社的にも多くはないため、1つの成功事例としての注目度も高い。「グループDXの発表においても、「HULFT Square」を含めた今回の取り組みは報告しており、興味のある部門があれば詳しく紹介していきたいと考えています」と福留氏に語っていただいた。
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AGCグラスプロダクツ株式会社
- 本社所在地:東京都台東区東上野4-24-11
- 資本金:12億8700万円
- 事業内容:ビルや住宅、マンションなどさまざまな建物に使われる、省エネに寄与するLow-E複層ガラスや防災安全性・防犯性に資する合わせガラスなど高付加価値な建築ガラスの製造・販売。
- この事例の記載内容は取材当時のものとなります。本事例の記載内容は予告なく変更することがあります。


