ファストシステム開発を推進しデータ連携基盤にかかわる開発コスト50%削減、構築期間50%短縮を実現。「HULFT Square」で未経験者でもデータ連携のセルフ開発が行える環境を確立

日本航空株式会社、 JALデジタル株式会社 様
業種・業態
空運
導入製品
HULFT Square
  • データ連携基盤
  • 運用負荷軽減
  • 開発工数削減
  • 業務自動化・効率化
ファストシステム開発を推進しデータ連携基盤にかかわる開発コスト50%削減、構築期間50%短縮を実現。「HULFT Square」で未経験者でもデータ連携のセルフ開発が行える環境を確立メイン画像

JALグループのDX戦略の中核を担う日本航空株式会社とJALデジタル株式会社は、開発の内製化・効率化を進めるため、重厚長大な既存のデータ連携基盤群と使い分けられる新たな二刀流のツールとしてクラウド型データ連携プラットフォーム(iPaaS)の「HULFT Square」を導入した。その結果、データ連携開発の未経験者でもセルフ開発を行える環境が整い、航空路線の便情報データ取得のDX化や、他航空会社とのコードシェア便情報の円滑なデータ連携など、既存のデータ連携基盤群では実現困難だった開発案件が急増。データ連携基盤にかかわる開発コスト50%削減、構築期間50%短縮などの成果を挙げた。

お客様の課題

  • ファストシステム開発を推進するため、開発や管理にコストのかかる既存のデータ連携基盤群と使い分けられるソリューションの導入が必要だった

導入効果

既存のデータ連携基盤群
では実現困難だった
開発案件が急増

データ連携基盤にかかわる
開発コスト50%削減、
構築期間50%短縮、
稼働工数も40%削減

データ連携未経験者でも
自主学習でセルフ開発
を行える環境を確立

ファストシステム開発の実現に向け、“コスパ重視型”のデータ連携基盤の導入が必須に

JALグループは、「安全・安心な社会を創る」と「サステナブルな未来を創ること」を骨子とした「JAL Vision 2030」を実現し、「世界で一番選ばれ、愛されるエアライングループ」となることを目指すため、事業横断の取り組み推進として、顧客戦略・人財戦略・DX戦略を推進している。

同グループにおいて、AIやデータを中心としたDX戦略の中核を担っているのは、日本航空株式会社のデジタルテクノロジー本部と、同本部と2025年4月に組織体制を一体化したグループ会社のJALデジタル株式会社(JALインフォテックから社名変更)だ。両社は、同グループや顧客のDXを加速させ、社会の発展に貢献するべく、ITを活用した業務の効率化やサービス品質の向上に一体となって取り組んでいる。

その中で、両社が近年、積極的に推し進めてきたのが「ファストシステム開発」だ。これは、ビジネス環境の急速な変化に適応するため、クラウド上で利用できるノーコード・ローコードツールを最大限活用し、アプリケーション開発を内製化・効率化する手法だ。両社は、社内のスモールニーズへの対応や、IT人財が限られる中での応需能力の確保などを目的として、2022年頃からこのコンセプトのもとに一部の案件開発を推進するようになった。

ただ、単にノーコード・ローコードツールを使えばファストシステム開発が可能になるかというと、そうではない。システム間のデータ連携をすばやく簡単に、コストも抑えて行うことが、ファストシステム開発を実現するためのもう1つの要件であるからだ。

JALグループでは、旅客・運航・整備・空港・貨物などの業務領域ごとにデータ連携基盤を運用している。しかし、既存のデータ連携基盤はどれも、いわゆる重厚長大なプラットフォームで、ファストシステム開発には適さないものだった。日本航空株式会社 デジタルテクノロジー本部 デジタルEX企画部 コーポレートグループの藤原史規氏とJALデジタル株式会社 システムマネジメント本部 共通サービス基盤部 データ連携基盤グループ チーフの海鋒雄飛氏は次のように話す。

日本航空株式会社
デジタルテクノロジー本部
デジタルEX企画部
コーポレートグループ
藤原 史規 氏

「既存のデータ連携基盤群は、お客さま情報や運航情報など、重要性の高い領域を扱うため、品質重視型で専門知識を必要とし、開発・維持・管理に手間と費用のかかるものでした。ファストシステム開発には適しておらず、コストを抑えつつ社内のニーズに応えたり、やりたいことをすぐに実行したりできないのが課題でした。それで、新たにコストパフォーマンス重視型のデータ連携基盤を導入し、開発案件の内容によって既存のデータ連携基盤群と使い分けたいと考えるようになったのです」(藤原氏・海鋒氏)

開発スピード、コスト、カスタマイズ性を評価して「HULFT Square」を導入

新たなデータ連携基盤を模索する中で、両社は「HULFT Square」を候補の1つに挙げ、他の製品と比較検討した上で導入を決めた。選定のポイントについて、海鋒氏はこう説明する。

JALデジタル株式会社
システムマネジメント本部
共通サービス基盤部
データ連携基盤グループ チーフ
海鋒 雄飛 氏

「重視したのは、まずSaaS・PaaS間の連携に特化したノーコード・ローコードツールであること、スピード感をもって開発できることが第一条件でした。次に、導入・運用コストが低くスモールスタートに向いていること。iPaaS製品の導入は初めての試みなので、うまくいかなければいつでも後戻りできることも重要でした。そしてもう1つは、カスタマイズ性が高く、さまざまなシステムと容易にデータ連携できること。それらの点を評価して「HULFT Square」を選びました」(海鋒氏)

導入を主導したのは、海鋒氏を含む少人数の推進チームだ。最初にセゾンテクノロジーによるレクチャーで基本的な使い方を学び、以降はサポート窓口と頻繁にやり取りして問題を解消することでスムーズに導入できたと海鋒氏は振り返る。

「『そもそもiPaaSってなに?』という状態からスタートしましたが、ノーコード・ローコードツールなので、すぐに使い始めることができました。また、疑問点などをサポートに問い合わせると迅速、丁寧に説明してくれて、非常に助かりました。私たちだけではいくら考えてもわからなかったことでも、サポートに尋ねれば即座に解消されるので、『なにかあったらすぐにサポートへ』という感じで頼りにしています」(海鋒氏)

同様に藤原氏も、充実したカスタマーサクセスについてこんな感想を述べる。

「他のソリューションのようにサポート料金が別途かかるわけではないのに、あれだけ丁寧に対応してもらえたり、参考になる他社事例を定期的に共有してもらえたりするのは、「HULFT Square」の魅力の1つです。ノーコード・ローコードツールであることとあわせて、開発の内製化・迅速化に大いに役立っています」(藤原氏)

そうした経緯で導入された「HULFT Square」は、部門内で「EPIC LCC」の愛称で呼ばれるようになった。これは、整備・空港・貨物の業務領域で利用してきた既存のデータ連携基盤「EPIC」が航空業界における「フルサービスキャリア(FSC)」であるとするなら、「HULFT Square」はよりリーズナブルで手軽な「ローコストキャリア(LCC)」であり、さらにローコスト・ノーコード(Low Cost No Code)の頭文字である「LCC」をかけて命名されたもので、部門内では製品名以上に親しまれる呼び名となった。

便情報データの取得方法をデータ連携でDX化した事例が社内で大きな反響

「HULFT Square」の導入によってJALグループでは、既存のデータ連携基盤群では実現困難だった開発事例が次々に創出されるようになった。最初の成果として社内で大きな反響を呼んだのが、データ連携基盤群を介して便情報APIで便情報を取得し、表形式にしてGoogleドライブへ保存する、航空機の整備業務を大幅に効率化するデータ連携だ。

グループ内で航空機の整備を担う組織では、各機体に対してどの整備員を配属するかを決めるため、以前はホスト型システムからExcelマクロを用いて便情報を抜き出すという、時間と手間のかかる方法を採用していた。しかし、このホスト型システムの退役に伴い、従来のコンソール画面からは便情報が取り出せなくなると判明したことから、導入したばかりの「HULFT Square」を利用して、便情報を取得するためのシステムを開発することとなった。

現場から依頼を受けた海鋒氏の推進チームは、認証情報を厳格に管理しながら便情報を受け渡せることや、既存のデータ連携基盤群を用いるより格段にリーズナブルで迅速に開発できること、サービスの内部でデータ整形が可能であることといった「HULFT Square」の利点を活かしシステムを構築した。

この新システムでは、便情報APIから取得した便情報をスプレッドシート形式でGoogleドライブへアップロードする。「HULFT Square」によって、最新の便情報データが、セキュリティを担保しながら5分に1回、自動的にGoogleドライブへ格納されるようになり、手軽に閲覧・ダウンロードできるようになった。

「旧来のホスト型システムの退役に伴う代替のシステムの開発は、従来の開発手法では高いコストと長期間のプロジェクトとなることが見込まれていました。それが『HULFT Square』によって、構築だけなら約1か月、テストなどを含めても約3か月でできてしまったのです。『HULFT Square』の導入直後で、推進チームとしても成功事例が欲しいところでしたから、非常にいい滑り出しになりました」(海鋒氏)

「HULFT Square」未経験者が便情報のデータ連携システムを短期間で構築

他航空会社とのコードシェア便情報のデータ連携も、「HULFT Square」によって生み出された成功事例の1つだ。コードシェア便とは、1つの航空便に対して複数の航空会社の便名を付与して共同運航している便のことだ。その運用にあたって、国際航空運送協会(IATA)が定めたフォーマットであるSSIMファイル(便情報のファイル)を航空会社間でやり取りするのだが、従来は関連各社の社員がSSIMファイルの置いてあるFTPサイトに直接アクセスしていた。しかし、DX化の流れの中でセキュリティの強化を図り、運用の効率化も目指すことが求められており、新たなデータ連携システムの構築が必要となった。

そこで活用されたのが「HULFT Square」だ。新システムでは、まずJAL側の社員によってJAL内のGoogleドライブに置かれたSSIMファイルが、コネクタで「HULFT Square」に連携されたのち、SFTPプロトコルで他航空会社のサーバーに置かれて共有される。一方、他航空会社の社員によって他航空会社サーバーに置かれたSSIMファイルは、同様に「HULFT Square」で取り込まれ、JAL内のGoogleドライブに共有される。SSIMファイルは1日に4回自動で受け渡され、最新の状態に保たれている。

ここで特筆すべきは、このデータ連携を構築したのが、海鋒氏の推進チームではなく、「HULFT Square」に初めて触れるJALデジタル内のアプリケーション開発担当チームだったことだ。藤原氏はいう。

「未経験のメンバーが、『HULFT Square』のオンラインマニュアルなどで使い方を学び、2~3か月という短期間でコードシェア便情報のデータ連携システムを構築できたのは大きな成果です。データ連携を行える人財が不足し、私たち推進チームに対して開発を要望する社員の待ち行列が発生する中で、初期の教育コストがかかるとはいえ、使い方を覚えた現場のユーザーが自ら開発してビジネスに展開できるというのは、推進側の負担軽減だけでなく、ユーザー側にも大きなメリットだと感じています」(藤原氏)

「HULFT Square」によるコードシェア便情報の連携先は、今のところ海外の航空会社1社のみだが、成果を踏まえ今後増やしていく計画だという。

データ連携基盤にかかわる開発コスト50%削減、構築期間50%短縮!セルフ開発のさらなる拡大に期待

「HULFT Square」は、JALグループのファストシステム開発に大きなインパクトを与えた。まず、データ連携関連の開発に要するコストは、既存のデータ連携基盤群と比べて約50%削減された。同様に構築期間も約50%、稼働工数は約40%に短縮された。

また、未経験者でも自ら学び、データ連携関連の開発を行えるようになったことは、内製化・効率化を目的とするファストシステム開発の狙い通りの、この上ない成果の1つといえるだろう。海鋒氏は、現場によるセルフ開発をさらに促進していきたいと話す。

「私たちIT部門がアプリケーションを開発する際には、まずそれを使う業務のルールや手順を把握する必要があるため、現場の人たちと会話します。しかし、業務内容を理解してビジネスロジックとして落とし込むのが非常に難しく、結果的にサービスインまでに時間がかかってしまうのです。セルフ開発の最大の利点は、業務をよく知る現場の人が自分で作るので、IT部門との間である意味で無駄なやり取りを省いて時間を短縮できること。ノーコード・ローコードで使える『HULFT Square』は、今後もセルフ開発を推進する上で強力な武器になりますし、現場からも期待の声が多く挙がっています」(海鋒氏)

今後、教育コンテンツを拡充するなどして、「HULFT Square」のユーザーを増やしていきたいと展望を語る海鋒氏。その言葉を受けて、藤原氏はこう締めくくった。

「今回紹介した2つの開発事例のような中継サーバー用途の『HULFT Square』の活用法はまだまだたくさんあるはずですから、引き続き使い方を探っていきたいと考えています。『HULFT Square』は、リーズナブルかつ短期間で効果を実感しやすく、さらにカスタマーサクセスも手厚いので、データ連携基盤の導入を検討している企業の方に、ぜひ使っていただきたいと思います」(藤原氏)

  • 文中におけるシステム名称(SOFIA、EPIC等)は、JALグループ内で使用している独自の呼称です。

日本航空株式会社、 JALデジタル株式会社

日本航空株式会社

  • 本社所在地 :東京都品川区東品川2-4-11 野村不動産天王洲ビル
  • 設立 :1951年8月
  • 資本金 :5,474億4,200万円(2025年3月31日現在)
  • 従業員数:14,431人(2025年3月31日現在)
  • 事業内容 :定期航空運送事業および不定期航空運送事業、航空機使用事業、その他附帯するまたは関連する一切の事業

JALデジタル株式会社

  • 本社所在地 :東京都港区芝浦3-1-1 msb Tamachi 田町ステーションタワーN 12階
  • 設立 :1978年8月
  • 資本金 :7億245万2500円
  • 従業員数:1,056人(2024年度)
  • 事業内容 :コンピュータ・通信システムによる情報の収集・処理・提供業務、コンピュータ・通信システムに関する設計・開発、ソフトウェアの設計・開発、設備・機器・部品の設計・製造など
  • この事例の記載内容は取材当時のものとなります。本事例の記載内容は予告なく変更することがあります。
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