オンプレミスとSaaSのセキュアな連携を少人数・短期間で実現。「HULFT Square」でデータ連携の内製化を加速させ、ビジネスの変化への即応体制を確立

株式会社近鉄百貨店 様
業種・業態
小売・EC
導入製品
HULFT Square
  • ERP連携
  • 基幹システム連携
  • 業務自動化・効率化
  • データ連携・加工
オンプレミスとSaaSのセキュアな連携を少人数・短期間で実現。「HULFT Square」でデータ連携の内製化を加速させ、ビジネスの変化への即応体制を確立メイン画像

関西エリアを中心に百貨店事業を展開する株式会社近鉄百貨店は、フランチャイズ事業の拡大や農業事業への参入など、事業ポートフォリオを再構築する中で、各種システムのクラウド移行を中心とするIT基盤の整備を進めている。しかし、同社はその先進的な取り組みの過程で、オンプレミスの基幹システムと新規導入のSaaS、「TOKIUMインボイス」とのデータ連携に関する課題に直面した。その解決に向けてクラウド型データ連携プラットフォーム(iPaaS)「HULFT Square」を導入した同社は、セキュアなデータ連携を少人数・短期間で実現。開発期間・コスト面で大きな成果を挙げ、データ連携の内製化を加速させている。

お客様の課題

  • オンプレミスとSaaSのデータ連携において、APIサーバーの構築や認証・セキュリティの設計など多くの障壁があり、開発のたびに多くの時間とコストを費やしていた

導入効果

少数のメンバーでスクリプトの作成から実装までを完了させ、セキュアなデータ連携を実現

データ連携基盤の新規開発が不要となり、数か月の開発期間が数週間に短縮、1,000万円規模のコストも削減

ビジネスの変化やニーズに迅速に対応し、内製でデータ連携を行える環境を確立

開発の内製化に向け、汎用的に使い回せるデータ連携基盤の整備が不可欠に

株式会社近鉄百貨店は、近鉄グループの中核企業として流通事業を担い、大阪・奈良・和歌山・滋賀・三重に店舗を展開している。その中で同社は近年、目指す姿として「くらしを豊かにするプラットフォーマー」(中期経営計画2021-2024年度)や、「(新しい価値を提供する)百“価”店」(同2025-2028年度)を掲げ、変革を推し進めてきた。

その取り組みの柱と位置づけられているのがフランチャイズ事業だ。同社は「カインズ」「ハンズ」「成城石井」などの他社ブランドとフランチャイズ契約を結んで店舗を運営し、現場での販売業務に多数の自社社員を配置するなど、業界では独自の路線で利益率の向上を図っている。さらに、2023年には農業事業に参入し、いちごやマンゴーなどの生産から加工、販売までを一貫して手がけることで、収益性の高い新規ビジネスへと成長させている。

そのようなビジネスの多角化と収益構造の変化に対応するため、同社のIT基盤には、当然ながらそれまで以上の柔軟性と迅速性が求められるようになった。それを背景として同社は、社内の各種システムのクラウド移行を進め、以前は数か月を要していたサーバー構築などを内製でよりスピーディに実行できる環境の整備に注力するようになった。また、データ活用の拡大にも力を入れ、たとえばAIを利用して売上データをもとに各店舗の予算策定を高精度化するなどの成果につなげていった。

ただ、DXを効率的に推進するためには、各種のシステム間でデータをスムーズに連携できる必要があり、その点において同社は問題を抱えていた。経費精算業務の効率化とペーパーレス化を目的に、既存のオンプレミスの経費精算システムをSaaSの新システムに置き換えるにあたりその課題が浮き彫りとなったと、総合企画本部 DX推進部 課長の入谷 健介氏は振り返る。

「既存の基幹システムはオンプレミスで構築されていて、同じくオンプレミスの経費精算システムとのデータ連携については、ファイル連携ミドルウェア「HULFT」を用いたファイル転送とバッチ処理で行っていました。一方、経理部門の選定によって新たに導入することになった「TOKIUMインボイス」はSaaSなので、データ連携についてはAPIを使うことになります。いわば“言語が違うレベル”でこれまでとは違うわけです。そうした異なる接続方式のシステム同士を連携するにあたり、APIサーバーの構築や認証・セキュリティの設計など、多くの壁が立ちはだかることは、導入前から明白でした」(入谷氏)

APIを扱える人員の限られている同社において、APIサーバーなどの構築を内製で行うことは、不可能ではないものの、相当の時間を要するのは避けられない。かといって外注すれば、多大な開発費用がかかってしまう。前述の通り全社でクラウド移行を進める方針のもと、今後SaaSの導入がさらに増えることを考えると、そうした時間とコストをそのつど費やすのは現実的でなく、汎用的・継続的に利用できるデータ連携基盤の整備が不可欠となっていた。

PoCで活用のめどが立ち「HULFT Square」を選定、少人数・短期間で導入プロジェクトを完了

そうした課題を解決するツールとして選定されたのが「HULFT Square」だ。もともと同社には、別の社内システムにおいて「HULFT」によるファイル連携の経験と実績があったため、「HULFT Square」に注目したのは自然な流れだった、と入谷氏は語る。

「最終的に選定の決め手となったのは、導入前、セゾンテクノロジーの営業担当の方の手厚いサポートのもと、基幹システムと「TOKIUMインボイス」をつなぐPoCを実施し、短期間で本稼働までこぎつけられる目処が立ったことでした」(入谷氏)

「HULFT Square」の導入プロジェクトは、「TOKIUMインボイス」の導入スケジュールに合わせて進められ、全体としては約半年間を要した。ただし、「HULFT Square」単体の構築については、特に問題となることなく、ごく短期間で終えることができた。しかも、プロジェクトに携わったのは入谷氏とパートナー会社のメンバー1名のみで、スクリプトの作成から実装までを基本的に自力で完了できた。準委任契約のような大規模な開発体制を必要せず、社内の貴重なリソースを他のプロジェクトに振り分けられたのは大きかったと入谷氏はいう。

株式会社近鉄百貨店
総合企画本部 DX推進部 課長
入谷 健介 氏

「HULFT Square」に触るのは初めてでしたが、データ連携に関してはスムーズに構築できました。基幹システムのあるAWS環境とリージョン間をまたいだ接続への対応など、少し苦労した部分もありましたが、セゾンテクノロジーのプリセールスの方から参考となる導入事例の共有やアドバイスなどの支援を受け問題なくクリアできました。もし「HULFT Square」を導入せずに自社でAPIサーバーを作ったりしていたら、比較にならないほど苦労しただろうと思います」(入谷氏)

開発期間・コストを大幅カットしつつ、オンプレミスとSaaSのセキュアなデータ連携を実現

そうした経緯で同社は、基幹システムと「TOKIUMインボイス」のデータ連携を内製で実現し、予定通り短期間で本稼働までこぎつけることができた。

もともと同社の経費精算業務では、スクラッチ開発されたオンプレミスの経費精算システムに請求書データが入力された後、紙伝票として出力され、経理部門で紙伝票と請求書を突き合わされて処理されるという運用がなされていた。

それに対して新たに構築された仕組みでは、「TOKIUMインボイス」に請求書データが入力されると、そこから抽出された仕訳データがAPIで「HULFT Square」へ受け渡されてデータ変換され、そこから基幹システムに「HULFT」にて自動的に連携される。また、逆方向のデータ連携として、基幹システム内のマスターデータがファイル出力され、「HULFT Square」を経由して経費精算システムに自動で登録・更新される。経費精算業務がデジタルで完結する仕組みになったわけだ。

ここで重要なのは、基幹システムのあるAWS環境と「HULFT Square」の接続において「AWS PrivateLink」を活用することで、AWS環境を外部に公開することなく、セキュアな通信経路を確保していることだ。

「「AWS PrivateLink」がなかったら、データを安全に受け渡すためにどういう経路にすべきかが大きな問題となるところでしたから、この機能は非常に助かりました」(入谷氏)

新システムの稼働開始から日が浅く、現場としては慣れ親しんだ紙による経費精算業務から移行途上の段階だ。そのため、業務として完全に定着し、定量的な効果が現れるまでにはまだ時間がかかる。ただし現時点で、すでに別種の大きな成果は出ていると入谷氏は話す。

「APIサーバーなどのデータ連携基盤を新規で開発せずに済んだことがなによりの成果です。もしAPIサーバーを外注で構築していたら、おそらく数か月単位の開発期間と、1,000万円規模の開発費用、加えてランニングコストを要していたでしょう。「HULFT Square」を利用することにより、今回初めて触る実質1~2名の人員でも開発期間を数週間に短縮し、コストを初期費用なしの月額料金だけに抑えることができました」(入谷氏)

中長期的にはさらに重要な効果といえるのが、データ連携に関する開発を自社で行える環境を確立できたことだ。これまで同社では、システム間のデータ連携が必要となるたびに、自社の手に余る場合には開発ベンダーへ相談し、多額のコストを費やしながら見積り・発注・開発という長いプロセスを経なければならなかった。

「たとえば基幹システムのマスターデータを連携するだけでも、外注だと数か月、数百万円もかかっていました。ノーコード・ローコード開発の可能な「HULFT Square」によって、それを自分たちで実行し、開発の期間と費用を大幅に圧縮できるようになりました。データ連携に関する開発の選択肢が増え、経営や現場からの要望にスピード感をもって応えられるようになったのは大きな進歩です」(入谷氏)

IT人材の育成に寄与し、データ連携の内製化を加速させる「HULFT Square」

本プロジェクトの成功を踏まえ、同社は今後、「HULFT Square」を利用したデータ連携の内製化をさらに推進していく方針だ。中でもすでに検討を始めているのが、「BigQuery」に蓄積されているデータの活用だ。購買データなどを近鉄グループ全体で分析に利用可能にするため、「HULFT Square」でデータを抽出・加工・連携する仕組みを作りたいと入谷氏は展望を語る。

「「BigQuery」からデータを抽出してファイルを作成する仕組みの構築だけで、ベンダーの見積りでは数百万円程度かかるということなので、これが自分たちで内製化できれば大きな成果となります」(入谷氏)

さらに、組織変更・従業員変更情報を各種システムに合うように手作業で抽出・加工するという、手間のかかる業務を効率化するため、変更情報を人事システムから「Google WorkSpace」へ自動で反映させるデータ連携も考慮中だという。

「そういう既存のシステムからのデータ抽出の自動化など、「HULFT Square」を使えそうな部分はたくさんあります。「HULFT Square」の導入によって、以前はなかった月額利用料がかかるようになったという意味ではコストアップしたわけですから、費用対効果をさらに高めるためにも、活用範囲をどんどん広げていきたいと考えています」(入谷氏)

さらに入谷氏は、データ連携の実践を通じてIT人材を育成し、内製化をさらに加速させるツールとしても、「HULFT Square」に大きな期待を寄せている。

「ビジネスの変化や社内外のニーズに迅速に対応するため、スキルアップしながら自分たちでデータ連携できるようになりたかった私たちにとって、「HULFT Square」は最適なツールだと感じています。そういう内製志向の強い会社にとって「HULFT Square」は有力な選択肢になるのではないでしょうか」(入谷氏)

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株式会社近鉄百貨店

  • 本社所在地:大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43
  • 設立:1934年
  • 資本金:150億円
  • 従業員数:連結1,962名、個別1,519名(2025年2月末現在)
  • 事業内容:1934年設立。関西エリアを中心に百貨店事業を展開。従来型の「百貨店」から、新しい価値を提供する「百“価”店」への変革を掲げ、フランチャイズ事業や農業事業への進出など、ビジネスの多角化を進めている。
  • この事例の記載内容は取材当時のものとなります。本事例の記載内容は予告なく変更することがあります。
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