CDC(変更データキャプチャ)とは?―オンプレから安全・確実にデータを運ぶ方法

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CDC(変更データキャプチャ)とは?―オンプレから安全・確実にデータを運ぶ方法

生成AIの活用が注目される裏側で、多くの企業が「オンプレミスにある膨大なデータをどうやってクラウドへ運び出すか」という現実的な課題に直面しています。特に意識すべきは開発コスト、システムへの負荷、そしてデータの鮮度です。本稿では、これらの壁を乗り越えるための選択肢として「CDC( Change Data Capture :変更データキャプチャ)」を取り上げます。データベースの仕様変更や運用負荷に悩まされる現場に向けた、効率的なデータ連携の仕組みを解説します。

データウェアハウス構築を左右するデータの運び出しという壁

生成AIの台頭により、社内のデータをクラウドに運び出すニーズが高まっています。社内データと生成AIを組み合わせることで、自社ビジネスに特化した回答や多角的な分析をスピーディーに実現しようという動きが加速しているためです。

しかし、多くの企業において、経営や事業のヒントとなる貴重なデータは、長年運用してきたオンプレミスのサーバーや基幹システムの中に眠っています。これらをいざクラウドのデータウェアハウスへ集約しようとした際、いかにして安全・確実にデータを運び出すかという最初のステップが大きな壁となります。

データの性質や目的によって最適な運び出し方は異なりますが、一般的に以下の3つの事象が課題として挙げられます。

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①開発・運用コストの増大

必要なテーブルが数十、数百とある場合、その数だけ抽出スクリプトを定義・作成しなければなりません。なぜならシステムやテーブルごとに、テーブル定義やデータ更新が発生するタイミングが異なるためです。

また、手間暇かけて構築したスクリプトはデータベース側の仕様変更(列の追加など)で簡単に止まってしまいます。そのたびにスクリプトを修正・テストするというメンテナンス作業が発生し続けます。

②システム負荷の懸念

企業のデータともなると1つのテーブルでもデータ量が膨大になります。データベースの差分を特定するために全データをスキャンするだけでも、膨大なデータ量ゆえにデータベースへ大きな負荷がかかってしまいます。

③データの鮮度不足

せっかく集めたデータは昨日までのもの、ということもあると思います。その場合、よりリアルタイムにデータを分析し今必要な施策を打ちたい、トラブルの予兆検知をしたい、といったニーズに答えることが難しいのではないでしょうか。

また、今は問題なくとも、今後データ量が増えすぎてバッチが想定時間内に終わらない問題が発生することも考えられます。

選択肢としてのCDC(Change Data Capture)

これらの課題に対し、有効な選択肢となるのがCDC(変更データキャプチャ)という技術です。 

CDCとは、データベースで行われた追加・更新・削除といった変更内容だけを検知し、別のシステムへ同期させる仕組みです。

更新都度少しずつデータを流すため、システムに負荷をかけずかつリアルタイムに近いデータ更新が可能になります。

選択肢としてのCDC(Change Data Capture)

CDCの主な種類と比較

CDCにはいくつかのアプローチがあります。特性を理解して選択することが重要ですが、一般的に、以下の理由からログベースが推奨されます。

  • データベースに負荷や変更を加えない:データベースに付随するトランザクションログを読み取るだけなので、データベース本体の処理には影響を及ぼしません。
  • 高パフォーマンスを保ちつつ削除データも漏れなくキャプチャ:物理削除に気づけない方式もありますが、ログベースなら変更履歴を記録したログを見るため見逃すことがありません。
  • 即時性が高い:データベースのトランザクションログ(変更履歴の記録ファイル)にアクセスしログが書き出されたことを検知して更新するためほぼリアルタイムに変更を同期できます。
比較項目 ① クエリベース ② トリガーベース ③ ログベース(推奨)
方式 定期的にSQLを発行し、更新日時等のカラムを見て差分を抽出する データベースのトリガー機能を利用し、更新に連動して変更内容を専用テーブルに書き出す データベースが出力するトランザクションログを直接解析して抽出する
1. データベースへの負荷
全件スキャンに近い処理が走り本番環境が重くなる
中〜高
データ書き込みのたびに別処理が走るためアプリのレスポンスが落ちる

データベースエンジンとは別の場所でログを読むため本体の処理能力を削らない
2. システム改修 必要
更新日時カラムや抽出用フラグの追加など、データベース設計の変更が必要
必要
データベース側にトリガーの設定が必要。管理対象テーブルが増えるほど複雑化する
不要
データベースの表構造を変える必要なし
3. 鮮度と正確性


抽出の間隔によるタイムラグが発生

物理削除されたデータは検知できない


即時性は高い

※負荷とのトレードオフ


リアルタイムに同期

物理削除も再現可能

データベースへの影響を最小限に抑えつつ、漏れなく、素早くデータを同期できるログベースは課題解決に効果的な技術です。

同時に、システム運用の安定性と、ビジネス側のデータ活用ニーズを両立させます。

もちろん、全てのケースにおいてCDCが最適というわけではなく、データ連携には適材適所の選択が重要です。

個人情報のマスキングや、個別のデータ加工、通信上の制約からデータを圧縮して転送する必要がある等の場合はETLが適しています。一方で、低負荷であることやデータ鮮度が求められる場面においてはCDCが効果的です。

CDCツールを導入すると、どう変わる?

実際にログベースのCDCツールを導入することで、現場の運用がどう変わるのかを具体的に見ていきましょう。 

導入によって、先ほど挙げた3つの課題は以下のように劇的に改善されます。

  • スクリプト作成の自動化◎:接続情報を入力するなど簡単な操作だけで、膨大なテーブルの連携設定を一度に完了でき、開発工数の削減に繋がります。
  • 構造変更にも自動追従◎:データベースで列が追加された、削除された場合でもCDCツールが自動で検知して同期先に反映されるため、運用の手間が減ります。
  • パフォーマンスの最適化◎:最小限のトラフィックで同期するため、ネットワークやデータベースへの負荷を極限まで抑えられます。
  • データ鮮度の向上◎:変更が発生したタイミングで更新を同期します。常に鮮度の高いデータを使用することができます。
  • 分析価値を高めるメタデータ付与◎:「いつ、誰が、どの操作をしたか」といった情報を列として自動付与します。分析者や開発者にとってあると嬉しいだけでなく、分析の精度や監査の信頼性が向上します。

このように、現場の運用負荷を最小限に抑えつつ、データの鮮度と信頼性を高められる点がCDCツールを導入する大きな意義といえます。

おわりに

大切なのは、用途に合わせた最適な手法を選ぶことです。

開発・運用コスト、システム負荷、データ鮮度という課題を乗り越えるために、CDCの活用は非常に有力な選択肢の一つです。

現場が楽に運用でき、本番システムも安全に守られ、常に最新のデータが届く。 この仕組みを整えることが、社内データと生成AIを組み合わせた価値創造を加速させ、ビジネスを成長させるための土台となります。

「自社の環境にCDCは合っているのか?」「そもそも何がベストな選択肢なのか?」「具体的な導入方法は?」等、疑問や興味をお持ちの方はぜひお気軽に当社へご相談ください。AI活用を加速させるための、効率的なデータ基盤づくりをサポートいたします。

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記事を書いた人

所 属:テクノベーションセンター R&Dエンジニア

尾島 ひかる

入社以来、データエンジニアとして製造業のお客様のデータ連携・分析基盤の設計・開発に従事。その後、社内向け生成AIを活用した業務改善施策の構築を担当。現在はR&Dエンジニアとして、これまでの経験を活かし、生成AI基盤やCDCエージェントなど、次世代の技術開発に注力している。休日は趣味のモダンバレエと旅行、ロードバイクでリフレッシュするのが好き。
(所属は掲載時のものです)

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