「ヤマザキ春のパン祭り」はいろいろと興味深いなと毎年思っている~「ちょっと足す」の可能性

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マーケティング部の渡辺です。
データやITなどに関する様々なことをゆるく書いているコラムです。

「春っぽい」話題

今回は、季節にあわせて「春っぽい」ことを話題にしてみようと思います。というわけで「ヤマザキ春のパン祭り」が今回の話題です。

山崎製パン | 春のパンまつり 2026

気候の話とか花の話とかじゃないのか?と思ったかもしれませんが(別の機会に執筆する予定がありますのでそちらもお待ちください)、もう十分に日本の春の風物詩として定着したと思えることと、読んでいただいたあと近所の店に行けば、「書いていることを体感できて色々考えてもらえるのではないか」ということでこの話題にしてみることにしました。

「ヤマザキ春のパン祭り」はいろいろと興味深いなと毎年思っている~「ちょっと足す」の可能性

「ヤマザキ春のパン祭り」とは

みなさんご存じだろうと思いますが、念のために説明します。「ヤマザキ春のパン祭り」とは、山崎製パン社が毎年春になると実施している、販売促進キャンペーンのことです。

バブル時代よりも前、なんと1981年から毎年開催されているキャンペーンです。2月頭くらいから4月末までの期間、パンなどのヤマザキの商品に点数シールが貼り付けて販売され、その点数シールを台紙に貼り付けて30点分を集めると、「フランス製の強化ガラスの白い食器」に交換してもらうことができる毎年春の行事です。

もうそろそろ半世紀くらいになろうかという稀にみるくらいの長期間、そろそろ生まれる前から開催されている感じになっている人も多くなっていると思います。つまり、稀にみるレベルのロングセラーである何かです。インターネット初期に「日本三大まつり」とは「ヤマザキ春のパン祭り」「東映まんがまつり」「花王ヘアケアまつり」のことであるというネット上での定番ジョークがありましたが、今(2026年3月現在)では他の二つの祭りは休止しているのに「ヤマザキ春のパン祭り」だけは終了する気配が全くない印象で、もはや日本の春の風物詩となっている感じすらあります。

私も存在そのものはずっと前から知っていましたが、長い間、春になるとシールを集めている人が身近にいるなあと思うことがあるとか、ネットでも春になると話題になっているなと思うことがあるものの自分ではシール集めをやったことはありませんでした。しかし(どうやら結構多いらしいのですが)コロナ禍の時期、「やったことのないことをやってみたい」と思って自分でシールを集めてみたところ、点数を集めればお皿がもらえることよりも、どうにも「いろいろと興味深いことがある」と思えることがありました。今日書くのはそういう話題です。

「どうしてその点数なのか?」「こんなにも商品があったのか」

ネットの一部では、春のパン祭りの「攻略法」みたいなものを考察して楽しむ文化があります、例えばシール一点を獲得するコストが低いパンはどれか?みたいなことを考察したりする遊びです。自分で皿を買った方が安いみたいな無粋なことを言う人もずっといますが、そうやって攻略法などを話題にして遊ぶこと自体が楽しみであり、シールを台紙に貼り付けてあと何点とか考えること(あるいはSNSで話題にすること)自体が楽しみなところがあります。

少ない費用でお皿を手に入れる機会である、みたいな経済合理性に訴えるような行事なら、50年近くも続いていないのではないかと思っています。長年続いているのは、「参加すること自体に楽しみがあるから」ではないかなと思います。そういう意味では確かに「春の祭り」なのです。さらには、デジタル時代になってきたからこそ、台紙に点数シールを貼る仕組みの持つ味わいも高まっているような気もします。

「どうしてその点数なのか?」

また開催期間に店に行って考えると興味深いのが「それぞれのパンはどうしてその点数なのか」です。有志?が点数一覧表を作ってコスパ計算なんかもしていますが、実際に店頭に行って考えてみる方が面白いのでお勧めします。

例えば、大ヒット商品の「ランチパック」でも点数が揃っておらず、1.5点のものから0.5点しかもらえないものまで、大きく差があります。普段パンを買う感覚でパンに一回手を伸ばしてから「あれっ、0.5点なの?」となって周囲の点数を比べてみると、他にもこんなにも色々なパンがあるんだなと思えたりして、自分はどうしてそれを買おうと思ったのか再考を迫られるようなところもあります。

ランチパックなら「ジャムとマーガリン」のような非常に定番のものは0.5点になっていて、いつもなら手に取らないような「少しひねったもの」に1点や1.5点がついている感じがあります。「春のパン祭りを機会にこっちのパンも試してみなよ」と言われている気が、売り場でしてくるわけです。そして買ってみて、「普段食べていなかったけれど、こっちもおいしいんだな」と気がついたりもします。

つまり「そのパンは何点か」はそういう意図があって決められているとも言えます。そう思って「これはどうしてこの点数なんだろうか」(どういう意図が込められているのだろうか)と思って店内を見てゆくと色々気が付くことがあります。

例えば、どうもブランドとして定着させたいらしい「ルヴァン」の名前がついているパンは値段の割に点数配分が良くなっています。例えば、ルヴァンのバターロールはシール2点かつ価格も150円強程度で、さらには毎日食べやすいものなので効率よく点数が集まります。あるいはそうやって「日常的に食べてくれ」ということなのでしょう。

点数には全部そうなった理由があろうわけですから、パン売り場を眺めていると「どうしてそうなっているのか」をいろいろ考えることが出来ます。

「こんなにも商品があったのか」

もう一つ気が付くのが、パン売り場以外でもヤマザキの商品が意外とあることです。例えばスイーツなんかが売っているコーナーで、四つ入りの「フレンチクルーラー」が売っていることに今さら気が付いたりします。よく考えてみると有名商品の「まるごとバナナ」もヤマザキですから、洋菓子コーナーにいろいろ商品があるのは当然でもありますが、普段はそこまで意識はしません。

「フレンチクルーラー」はシール点数的には高コスパではないものの、コロナ禍でずっと家の状態でコーヒーと一緒に食べるものとしてはコスパも悪くないということで、一時期ずっと買って食べたりしていました。

同じくプリンやゼリーが置いてある場所にも商品があり、色々とあるんだなあと気が付くきっかけになります。

パンのコーナーでも、総菜パンにいろいろな種類があることに改めて気が付いて、コロナ禍当時に外食が営業してなかったりする時期だったこともあり、簡易な昼食として総菜パンを食べることが便利だと気が付いて、個人的に総菜パンが流行ったこともありました。

「デイリーヤマザキ」

そうやって考え始めると、シールの点数計算よりも、もっと全体が興味深くなってくるわけですが、さらに店全体でヤマザキの製品が主となっている店、「デイリーヤマザキ」に行くと、店内で気が付くことはさらに濃厚になります。

まずは弁当類やおにぎり、飲料などにもヤマザキの製品があり、そのようなものからもポイント補給ができることがわかります。これまでと同じ目線で、今後は店全部が気になるわけです。

シールの点数の高いものは、「何かしらのPRがなされているもの」だと考えるべきなわけですから、そうやって普通の店では見かけない商品をみてゆくと、確かにいろいろと「食べてみると美味しいもの」が見つかったりします。

例えば、クレープなんだけれどもプリンをクレープ皮で包んである「プリンクレープ」は、そういう経緯で初めて食べてみて美味しかったので、デイリーヤマザキで見かけたら買う私の定番になりました。食べるときに汁がたれやすいのは注意する必要がありますが、一般的にお勧めできるものだと思っています。

他にも、甘いフレンチトーストでハムとチーズをサンドしてある「フレンチトースト(ハムチーズ)」なんかも私の定番になりました。点数シールを眺めて考察しているだけで、そんな発見までできてしまったわけです。

ただそれらのお気に入りになった商品、他のコンビニなどでは基本的に売っていないため、「デイリーヤマザキ」がどこにあるかも気になり始めてしまいます。たとえば「浦和美園駅」に駅構内にあるので埼玉スタジアムでサッカー観戦する前に買えるとか、渋谷でライブを見た帰りに店があるとか、天空橋でライブを見た帰りに店があるとか、弊社のオフィスからやや離れた赤坂の駅近くにもあるとか、そういうことまで把握してしまうことになりました。

既存の商品に「シールを貼っただけ」なのです

というわけで、それから何年も経つ今年も漫然とシールを集めており、3月頭の現在いつのまにか14点くらいとなっています。今年もお皿をもらうことになるでしょう。

また、ここまで書いてきたような「いろいろなこと」が起こっていて面白いなあと思うわけですが、「それをどうやって実現したのか」を考えてみると、基本的に「既存の商品に点数シールを貼っただけ」でそれ以上のことはしていないところもなんだかすごいと思うわけです。

もちろん、各販売店を営業さんが廻って「台紙」や「交換用の皿」を置いてもらうようなことや、交換用の皿をフランスに発注して日本の津々浦々まで配る大変な手間などは当然必要であって、誰でもできる簡単なことというつもりではありません。

「実際にパンを買う我々」の目線で考えるなら、「パンに点数シールが貼られている」「皿と交換してもらえる」の二点くらいしか本質的な変化はないのです。しかも、春に期待の新商品が登場したりするわけでもありません、売っているものも基本的に変わらないわけです。

それなのに、「点数をよく考えて、各商品にシールを貼る」だけで、ネット上でみんなが話題にして楽しむことができるようになり、売り場は急に興味深くなり、点数シールを介した「この商品はお勧めだから是非食べてほしいんだよ」「たしかにおいしいね」の一種の会話すら発生するわけです。

我々の信じる、「つなぐ」可能性

昨今では、「新しいことをしなさい」みたいなことを盛んに言われますし、マーケットがどうとかマーケティングがどうみたいなことも盛んに言われがちです。しかしそういう大げさなことをしなくても、「既存の商品にシールを貼る」だけで、これだけのことが引き出せるわけです。

我々は、「つなぐ」プロダクトを提供しています。IT的な説明としては「データ連携を実現する製品」という説明もできるわけですが、データを連携するのがどうしてそんなに重要なのか?とか、そのために「専門の製品」がどうして必要になるのかなど、ちょっとわかりにくいところもあるかなと思います。

例えば自社でもクラウドを活用したいと思って「kintoneを導入した」とします。導入後に無事に活用が進むと、どういうクラウド(あるいは業務システム)でも起こりがちなのが「もうちょっと何かしたい」みたいな要望です。

例えば、「このExcelシートのデータと連携できればなあ」とか「毎日同じような操作とかデータの出し入れをしているので自動化できるはずだ」(インポートしてエクスポートする毎回作業とか、データをコピペしてPPTやExcelに延々貼り付けている)とか、「毎月作っている月次レポートを生成する業務システムに自動的にデータが飛んでいかないかな」とか、「営業部のSalesforceとデータがつながっていれば」とか「生産管理システムのデータをkintone上に直接出せないかな」とか、最近だと「生成AIと連携させたい」とか。

今使っているクラウドや業務システムを、ここだけ他のシステムと組み合わせたいなあ、みたいな要望は(よく考えてみると)現実には多くあります。そして、ちょっとつないでみただけの取り組みが、実に大きな効果を生むことも珍しくありません。そういう世の中に多々ある「つなぎたい」ニーズを、現場自らでも使いこなせる「ノーコード」で自由自在に作りこめる手段として、「DataSpider」や「HULFT Square」を提供させていただいています。

「点数シールを貼るだけ」で、こんなにもいろいろなことが起こるという実例は、何かと何かを少しだけでも「つなぐ」だけで「新しいこと」がこんなにも起きる一般的な可能性の実例じゃないかなと思っています。IT活用で、そのような素敵な可能性を実現する手段として、我々のプロダクトの活用を検討いただけますと幸いです。

記事を書いた人

所 属:マーケティング部 デジタルマーケティング課 所属

渡辺 亮

・2017年 株式会社アプレッソより転籍
・大学で情報工学(人工知能の研究室)を専攻したあと、スタートアップの開発部で苦労していました
・中小企業診断士(2024年時点)
・画像:弊社で昔使われていた「フクスケ」さんを私が乗っ取りました
(所属は掲載時のものです)

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